HOME » コラム » ランキング » 【騎手がGⅠ初勝利するまでの挑戦回数ランキング】涙の数だけ強くなれる!諦めなかった者が辿り着いた絶景 » ページ 10

競馬の世界で最高峰に位置づけられる「G1」。そのタイトルは騎手であれば一度は夢見る頂だろう。だが、その壁は高い。そもそも騎乗機会が限られ、さらに勝つには、運も馬の力も、技術も、すべてが噛み合わなければならない。そこで今回はG1初勝利までに最も多く挑戦した騎手たちトップ10 をランキング形式で紹介していく。[10/10ページ]

第1位 三浦皇成

挑戦127回目・2025年スプリンターズステークス・ウインカーネリアン

2025年スプリンターズSを制したウインカーネリアンと三浦皇成騎手
2025年スプリンターズSを制したウインカーネリアンと三浦皇成騎手

 2008年にデビューした三浦皇成騎手は、初年度からいきなりJRAで91勝を挙げ、武豊騎手が保持していた「恐らく破られない」と思われていた69勝の記録を大きく更新した。

 重賞初騎乗もデビューから2週間後の中山牝馬ステークスと非常に早く、同年8月の函館2歳ステークスで早くも重賞初勝利。

 9月には騎乗機会8連続連対、10月にはスプリンターズステークスで史上最速のG1初騎乗と、とても1年目とは思えない記録を次々と残していった。

 こうなれば当然、武騎手が保持する「史上最年少でのG1勝利」を更新するのも時間の問題と思われていた。

 しかし、その期待とは裏腹に、三浦騎手はG1タイトルにはなかなか手が届かなかった。デビュー2年目の2009年は、G1に13回騎乗したが馬券圏内への入線はなし。

 3、4年目の安田記念では共にスマイルジャックで3着とはなったものの、勝ち馬にコンマ1秒差届かず。

 2012年の有馬記念では急遽代打騎乗となったエイシンフラッシュで乾坤一擲のイン強襲を見せて、一旦は先頭に躍り出るものの、外から捲ってきたゴールドシップらに交わされて4着。

 2014年のNHKマイルカップでは18頭中17番人気のタガノブルグ、同年の安田記念では17頭中16番人気のグランプリボスをタイム差なしの2着まで激走させたが、わずかな差で勝利には届かなかった。

 さらに、落馬によるケガなどもあり、成績は徐々に下降線へ。2017年にはデビュー年の2割ほどの24勝まで落ち込んだ。

 それでも三浦騎手は復調し、2020年には自己最高の年間102勝をマーク。その年末に行われたホープフルステークスでは、2番人気に支持されたランドオブリバティに騎乗。三浦騎手のG1初制覇という夢を見た人も多かったはずだ。

 だが結果は競走中止。4コーナーを回らずに外側へ逸走してしまう幕切れとなった。

 それでも絶対に諦めなかった三浦騎手が出会ったのがウインカーネリアンだった。3歳秋から主戦騎手となると重賞を2勝し、2025年にドバイへ遠征して出走したアルクオーツスプリントでは勝ち馬から0秒1差の2着と好走。

 そして帰国初戦のキーンランドカップ5着を挟んで迎えたスプリンターズステークスでは、前有利の中山の馬場を生かすように積極的に前へ。

 逃げたジューンブレアを2番手でピタリとマークし、直線は外から叩き合いに持ち込む。後方から彼らに迫れるものはいなく、坂を上るところで完全に2頭のマッチレースに。

 中山競馬場のスタンドからは三浦騎手を後押しする声援が響き渡っていた。その声に押されるように前へ出たウインカーネリアンは、アタマ差でジューンブレアを抑えて勝利。

 幾度となく跳ね返されてきた0コンマの壁を、三浦騎手は126回目の挑戦でついに打ち破った。

 レース後のインタビューでは感極まり、「やっと勝てました」と涙ながらに語りながら多くの人へ感謝を述べていた三浦騎手。

 苦節18年、辛酸を舐め続けた経験が報われた瞬間は、日本中の競馬ファンから祝辞が絶えない、暖かな空間が出来上がっていた。

【了】
(文●小早川涼風)

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