HOME » コラム » 5選 » 【スプリンターズS名勝負①】サクラバクシンオーやタイキシャトルなど名だたる“短距離王”が登場 » ページ 2

Flower Park
第30回 スプリンターズSを制したときのフラワーパーク

②1996年(勝ち馬フラワーパーク)

 サクラバクシンオーが圧巻のラストランを見せてから、2年が経った1996年。一転してハナ差の大激戦を演じたのは、フラワーパークとエイシンワシントンの2頭であった。

 まず1頭目の主役はフラワーパーク。同年のG1高松宮杯を制して勢いに乗る5歳牝馬は、1400m以下のレースでは7戦5勝2着2回という、パーフェクトに近い成績を収めていた。夏冬スプリントG1制覇が期待されており、このレースでも単勝1番人気に推されていた。

 そしてもう1頭の主役が、そのフラワーパークを前哨戦のCBC賞で破ったエイシンワシントンであった。さらにそのCBC賞は、G1マイルチャンピオンシップからの連闘による勝利であるから驚きだ。こちらはフラワーパークよりひとつ上の6歳牡馬で、スプリンターズSは3年連続の参戦。サクラバクシンオーのラストランとなった1994年にも出走しており、4着に健闘していたが、G1勝利は未だなかった。

 スタートが一番早かったのはフラワーパークだったが、その内から二の足がついたエイシンワシントンがハナを切り、直後の2番手にフラワーパークがつける展開。その隊列のまま4角を回り、直線に入るとそこからは完全に2頭の世界。後続をグングン突き放して一騎打ちとなる。

 残り100m地点では、CBC賞同様にエイシンワシントンが振り切ったように見えたが、坂を上りきってから再びフラワーパークが差を詰めて、ゴール板では両者並んでの入線。勝敗は写真判定に委ねられることとなる。

 12分にも及ぶ長い写真判定の結果、ハナ差でフラワーパークが勝利。その差は後に、1センチであったと発表された。

 エイシンワシントンはこのレースを最後に現役を引退し、フラワーパークは現役を続行したものの、翌年走った6戦で勝利はおろか、3着以内に入ることもなかった。

 それほどまでに、全てを出し尽くした追い比べだったのかもしれない。

1 2 3 4 5 6