③2012年(勝ち馬：オルフェーヴル)

　テイエムオペラオーの勝利から12年が経った、2012年の宝塚記念。この年のファン投票1位は、オルフェーヴル。

　前年の牡馬クラシック3冠馬だけに妥当な結果であったが、阪神大賞典逸走→天皇賞(春)大敗後だったこともあり、単勝オッズは1番人気ながら3.2倍。ファンも半信半疑で迎えた一戦であった。2番人気(単勝オッズ4.4倍)はルーラーシップ。こちらは対照的に、直前のクイーンエリザベスCでG1初制覇と勢いに乗っていた。

　この2頭の後ろは7〜8倍台で4頭がひしめき合い、6頭が単勝10倍を切る混戦模様で発走を迎えた。レースは、ネコパンチがハナを切り、後ろを引き離す逃げを打つ。2番手のスマイルジャックもポツンと追走し、全体的に馬群は縦長。ルーラーシップは好位の後ろ、オルフェーヴルは中団の後ろから進めていく。

　レースが動いたのは、3〜4角の中間あたり。ハイペースで引っ張っていたネコパンチが失速し、先団はマウントシャスタ、ビートブラック、アーネストリーが横並び。その直後にルーラーシップが続き、オルフェーヴルはまだ中団馬群のまま4角を回った、はずだった。

　しかし、直線に入ってカメラが切り替わると、なぜかオルフェーヴルは先頭争いに加わっていた。内を選択したマウントシャスタと、外を選択したビートブラック、アーネストリー、ルーラーシップの間にぽっかり空いたスペースを突き、一気に先頭争いまでワープ。こうなれば負けるオルフェーヴルではなく、外から追いすがるルーラーシップを振り切って勝利。2馬身差の2着にルーラーシップが続き、後方から追い込んだショウナンマイティが3着となった。

　勝ったオルフェーヴルは、前年の有馬記念以来となるG1・5勝目。前2走によって失いかけていた、3冠馬の輝きを取り戻した瞬間であった。