③佐々木晶三(2013年 キズナ)
生年月日:1956年1月15日
所属:栗東
代表管理馬:タップダンスシチー、アーネストリー、ラムジェット
G1級勝利:8勝
2003年、ネオユニヴァースがダービーを勝ち、瀬戸口調教師が念願のダービートレーナーとなった裏で、開業11年目の佐々木晶三師が所属馬をダービーに初出走させていた。
その馬、タカラシャーディーとコンビを組んでいた佐藤哲三騎手は、その後厩舎の主戦として佐々木師と共に多くのG1を制覇。そんな折、両者と親交の深いノースヒルズグループから1頭の牡馬が佐々木師の下へ預託される。それが2013年のダービーを制するキズナであった。
デビュー当初から期待を懸けられていたキズナは、佐藤騎手を背に2連勝。当然、翌年のクラシック路線でも注目の1頭であったが、暮れの重賞を前に佐藤騎手が落馬し長期離脱というアクシデントに見舞われる。彼に変わる鞍上に抜擢されたのは、武豊騎手だった。
乗り替わったのちのラジオNIKKEI杯2歳Sと弥生賞は連敗に終わったものの、佐々木師はこの2レースでの敗北を「前者は僕が仕上げ方を失敗して、後者は鞍上が馬を信じ切れていなかったから負けた」と振り返っている。
「失敗をしたから、敗北の理由が明確になった。負けた理由がこれだけハッキリしている馬もいないから、ダービーに向けて自信を持って作れた」という言葉通り、ダービーに向けて立て直されたキズナは毎日杯、京都新聞杯と連勝。迎えた本番は大外から父であるディープインパクトを彷彿とさせる直線一気で勝利を飾り、佐々木師は4度目の挑戦でダービーの栄冠を掴んだ
この勝利の後、やや低迷していた武豊騎手は見事に復調し、ラニやクリンチャーなど、ノースヒルズグループの馬で世界の大舞台に挑んだ。そして佐々木師も、2024年に大井の東京ダービーをノースヒルズグループの代表、前田幸治氏のラムジェットで制覇。今も変わらぬ彼らの「絆」は、確かにあるのではないだろうか。