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2012年ダービー制覇のディープブリランテ
2012年ダービー制覇のディープブリランテ

④2012年(勝ち馬ディープブリランテ)

 タニノギムレットの勝利から10年が経った、2012年のダービー。

 上位人気3頭は、皐月賞の上位3頭と同じ顔触れであった。
 1番人気(単勝オッズ2.5倍)は、皐月賞2着のワールドエース。皐月賞ではゴールドシップに2馬身半の差をつけられたが、ぽっかり空いた内をワープしたゴールドシップに対して、ワールドエースは馬群の大外を回っての2着。負けて強しの内容で、逆転可能と見られていた。

 続く2番人気(単勝オッズ3.1倍)は、そのゴールドシップ。こちらも皐月賞のレースぶりは鮮やかで、特に減点材料はなかったのだが、ワールドエースがロスの多い競馬だったことにより、僅差の2番人気となっていた。そして3番人気(単勝オッズ8.5倍)が、皐月賞3着のディープブリランテ。皐月賞はソツのないレース運びであったが、そのぶん上位2頭と比較するとインパクトで見劣っての3番人気といった印象であった。

 レースは、ゼロスがハナを切り、人気馬の中で一番前に構えたディープブリランテは好位のインコース。ワールドエースは中団後ろの外めにつけ、それを見る形でゴールドシップが進めていた。前半1000mの通過は、59秒1と淀みのないペース。ただ、ゼロスとトーセンホマレボシが後続を引き離していたため、3番手以降はスローペースで推移する形で4角を回り、最後の直線へと向かう。

 直線に入ると、前の争いからトーセンホマレボシが抜け出して先頭。それをディープブリランテが追い、その外からフェノーメノも伸びてくる。残り200mでトーセンホマレボシを交わしてディープブリランテが先頭に立ち、離れた外からフェノーメノが並びかける。

 岩田康誠と蛯名正義、共に悲願のダービー制覇をかけての熾烈な争いは、ゴール前でほとんど並んで入線。写真判定の結果、ハナ差で内のディープブリランテが勝利。3着にはトーセンホマレボシが粘り込み、大外を追い上げたワールドエースとゴールドシップは4.5着までであった。

 勝ったディープブリランテは、秋に備えての放牧へは出ず、欧州遠征を敢行。歴戦の古馬に混じってキングジョージに出走するも、8着に敗れた。

 そして帰国後、放牧を経て菊花賞直行が発表されたが、当週の追い切り後に脚部不安で回避を発表。その後、屈腱炎を発症していることが判明し、現役引退が発表された。

 今回の5頭で唯一、ダービーがラストランとなった馬ではないが、国内でこの馬の走りを見ることができたのは、ダービーが最後となった。

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