②1997年(勝ち馬サニーブライアン)
19万人超によるナカノコールから7年が経った、1997年のダービー。
この年は、1冠目の皐月賞が大荒れ。上位人気馬が軒並み不発に終わり、単勝11番人気のサニーブライアンが、早め先頭からの押し切り勝ち。単勝10番人気のシルクライトニングが2着、単勝12番人気のフジヤマビザンが3着に続いて、大波乱決着となった。
この当時に3連単が発売されていたら、どれほどの配当になったのかという荒れ方を見せたこともあり、ダービーも混沌としていた。
1番人気(単勝オッズ2.4倍)は、皐月賞1番人気4着のメジロブライト。2番人気(単勝オッズ6.2倍)で皐月賞2番人気6着のランニングゲイルが続き、ここまでは皐月賞と同じ人気順。そして3番人気(単勝オッズ6.2倍)には、初勝利をダートで挙げた別路線組のシルクジャスティスが推されていた。
皐月賞の上位3頭(シルクライトニングはダービー競走除外)はいずれも皐月賞がフロック視されたような人気順。皐月賞馬のサニーブライアンでさえ、6番人気(単勝オッズ13.6倍)に甘んじる形で発走を迎えた。
レースは、のちに稀代の逃げ馬となるサイレンススズカもいたが、サニーブライアンが大外枠から先手を主張。ランニングゲイルは中団を追走し、メジロブライトとシルクジャスティスは後方から進めていた。前半1000mの通過は61秒5で、良馬場を考えると遅い流れ。そのままサニーブライアンが先頭をキープしたまま4角を回って最後の直線へと向かう。
直線に入ると、好位につけていたフジヤマビザンらを突き離してサニーブライアンが独走状態。そこに猛然と襲いかかってきたのは、離れた大外に持ち出したシルクジャスティスと、連れるように伸びたメジロブライト。しかし、最後まで脚いろの衰えなかったサニーブライアンが逃げ切り勝ち。1馬身差の2着にシルクジャスティスが入り、そこから半馬身差の3着がメジロブライトとなった。
勝ったサニーブライアンは、皐月賞に続いて大外18番枠からの勝利で2冠を達成。レース後のインタビューで鞍上の大西騎手が「1番人気はいらないから、1着だけ欲しかった」と語ったのも印象的であった。
しかしその後、秋の3冠挑戦に向けての放牧中に骨折が判明。さらに骨折が完治して復帰に向けての調教が詰まれている際に今度は屈腱炎が判明。サニーブライアンが再びターフに姿を現すことはなく、そのまま現役引退となった。
サニーブライアンが菊花賞に出走していたら3冠馬になっていたかというのは、今でも競馬ファンの語り種となっている。