HOME » コラム » 5選 » ハープスターやアーモンドアイなど。桜花賞で「大外一気」を決めた名牝中の名牝たち5選 » ページ 3
Jeweler
ジュエラー(手前)とシンハライト(奥)

③2016年(勝ち馬ジュエラー)

 ハープスターの衝撃から2年が経った、2016年の桜花賞。この年の前評判は、1強+2頭という構図。まず1番人気に推されていたのが、メジャーエンブレム。勝ったレースはいずれも危なげない勝利で5戦4勝。阪神JFを制して2歳女王に輝いており、年明け初戦のクイーンCでも5馬身差の圧勝。桜の女王に向けて、死角はないように見えた。

 それに続いたのが、チューリップ賞でワンツーの2頭。チューリップ賞を制したシンハライトは、デビューから無傷の3戦3勝。3戦ともにメジャーエンブレムのような派手な勝ち方ではなかったが、2戦続けてハナ差の競馬をものにする勝負根性には定評があった。そしてそのシンハライトにチューリップ賞でハナ差敗れたのがジュエラー。こちらは1勝馬であったが、2戦目のシンザン記念では牡馬相手に2着。さらにはデビューから3戦連続で上がり最速をマークしており、爆発力は大きな武器となっていた。

 脚質も含めて三者三様の3頭が人気を集め、4番人気以降は単勝20倍以上のオッズで発走を迎えた。レースは、アッラサルーテがハナを切ろうとするところに、外からカトルラポールが先手を主張。さらにその外からメイショウバーズが2番手につけ、アッラサルーテはその後ろから。メジャーエンブレムはこれまでと違って控える競馬を選択し、中団前あたりのインコース。そのすぐ後ろにシンハライトがつけ、ジュエラーは後方2番手からの形となった。バラけていた後方勢も徐々に前との差を詰めていき、一団の馬群となって4角を回って最後の直線へと向かう。

 直線に入ると、前は様相が一変。馬群の中で揉まれながらもこじ開けてきたメジャーエンブレムが先頭に立とうとしたのも束の間、その外からシンハライトがあっさりと交わして先頭。さらに外からアットザシーサイドも迫るが、それらを上回る末脚を発揮したのがジュエラー。メジャーエンブレムとアットザシーサイドを交わすと、前を走るシンハライトに並んだところがゴール。長い写真判定の末、2センチとも言われる差でジュエラーが先着を果たした。

 もちろん上がり3Fは最速の33秒0、レース上がりを1秒3上回っていた。2戦連続でハナ差の争いを制していたシンハライトを下す、大きな2センチ差であった。

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