
②2014年(勝ち馬ハープスター)
次に取り上げるのは、ブエナビスタ勝利から5年後となる、2014年の桜花賞。2009年と2014年のイメージがかぶる人は、私だけではないはず。実際に共通点はいくつかあり、1番人気が単勝オッズ1.2倍の松田博資厩舎の馬、2番人気がレッド冠の馬、この2頭がワンツーを決める、なにより勝ち方が派手な追い込みである点が共通している。
この年の1番人気ハープスターは、ブエナビスタと同じ4戦3勝。しかしひとつ違っていたのは、桜花賞に出走しているレッドリヴェールに、阪神JFで敗れている点であった。しかしその阪神JFも、中団からスムーズな競馬をしたレッドリヴェールに対し、馬群をさばいて伸びてきたハープスターがハナ差まで迫った内容。新潟2歳Sやチューリップ賞のようにスムーズに外へさえ持ち出せれば、ハープスターの末脚が爆発するとファンは考えての、単勝オッズ1.2倍であった。対するレッドリヴェールは、阪神JFからのぶっつけとなった臨戦過程が多少割り引かれ、単勝オッズ7.4倍の2番人気で発走を迎えた。
レースは、押して先手を取りにいったコーリンベリーを外から制して、フクノドリームがハナを切る。ニホンピロアンバーが2番手につけ、コーリンベリーはその後ろ。レッドリヴェールは、阪神JFより後ろの位置どりとなって後方集団を追走。注目のハープスターはゆっくりとしたスタートから、最後方に構える形となっていた。その間に、前はフクノドリームが大逃げ態勢。後続に10馬身以上のリードを奪って最後の直線へと向かう。
直線入り口では後続と10馬身以上、ハープスターとは20馬身近いリードがあったフクノドリームだったが、そのリードはみるみるうちに詰まっていく。残り100mあたりで先頭はレッドリヴェールに変わり、阪神JFの再現かとも思われたが、その外から伸びてきたハープスターが、ゴール前で測ったようにクビ差捕えて勝利。上がり3Fはもちろん最速の32秒9で、大逃げがだったこともあったが、レース上がりを3秒4も上回る末脚。直線だけでの17頭ごぼう抜きは、まさに圧巻であった。