馬の意思を尊重し、作戦を変にいじらない

では、ここからは具体的なデータで買い時について考える。まずは調教師別の成績から。目立つのは騎乗数、勝利数ともトップの田中博康調教師。関東の新進気鋭の若手トレーナーが信頼を寄せる。勝率は25.0%と高く、このコンビに注目する。

田中博康厩舎とのコンビ、ダートの勝率は3割を超えている。坂井瑠星騎手とのコンビで知られるレモンポップを出世街道に乗せたのは戸崎騎手だ(レモンポップ×戸崎騎手の成績 7-1-0-0)。
しかし、2023年根岸S1着後に坂井瑠星騎手に乗り替わった。フェブラリーSではドライスタウトの先約があり、レモンポップを手放す形に。ご存じの通り、レモンポップはフェブラリーSを制し、以後、さらに快進撃。結果として坂井瑠星騎手の馬になった。
戸崎騎手はこんな残念な例が多い。そのまま騎乗していればと思ってしまうが、騎乗予定がかなり先まで埋まるゆえのジレンマでもある。手放したくなくても手放さざるを得ない。結果として、別の騎手の代表馬になってしまい、自身の代表馬がいなくなる。こういった差配も依頼されなければ乗れない騎手という職業の難しさだ。

ちょっと話が別の方向へいってしまったが、戸崎騎手と田中博康厩舎のダートの買い時は前走成績にある。前走で逃げ先行だった馬は勝率40%以上。かなりの確率で勝ち切る。逆に前走中団より後ろで競馬した場合、勝率は一気に下がる。戸崎騎手は馬の意思を尊重する騎手であり、前走逃げ先行だった馬は素直に前へ行かせる。前走逃げ先行だった馬で先行すると16勝。勝率は5割を超える。変に作戦をいじらない戸崎騎手らしさ全開のデータだ。