HOME » コラム » 5選 » “砂の女王”の悲劇からウシュバのごぼう抜きVまで。ドバイWC、日本馬の激闘5選 » ページ 5
Ushba Tesoro_GettyImages
ドバイWCを制したときのウシュバテソーロ

⑤2023年ウシュバテソーロ(1着)

 2010年からオールウェザーで行われたドバイワールドカップだったが、2015年には再び舞台をダート2000mに変更。そのため日本からの参戦も、主にダート馬へと戻っていった。

 そんな中、2021年から2年連続で参戦したチュウワウィザードが、2.3着と好走。先に海外G1を勝利していた芝だけでなく、ダートでも世界との差は確実に縮まっていた。

 そして迎えた2023年。この年はなんと、日本から大挙8頭が参戦。レース自体は15頭立てで行われたので、なんと過半数が日本馬。現地では、異様な光景にも見えていたに違いない。

 そしてこの頃には、海外競馬の馬券が日本でも買えるようになっていた。1番人気は、前年覇者の米国馬カントリーグラマー。そしてそのカントリーグラマーを、サウジCで下した日本馬のパンサラッサが2番人気が続き、前哨戦を制した仏国馬アルジールスが3番人気。

 海外のブックメーカーなどの情報を参考にしているファンが増えてきたことにより、日本馬が8頭出走しているにも関わらず、日本馬にシビアなオッズとなっていた。

 レースは、大外枠からでもハナを主張するパンサラッサに、内からリモースが抵抗。2頭が並走の形で競ったことで、流れはかなりのハイペースとなった。この恩恵を受けたのが、道中最後方を追走していたウシュバテソーロ。

 直線では、先に抜け出したアルジールスを目標に末脚を伸ばすと、残り150m辺りで捕えて快勝。展開が向いた面はあったにせよ、テン乗りの川田騎手を背に最後方から14頭をごぼう抜きしての勝利は、世界に絶大なインパクトを与えた。

 オールウェザーで勝利した2011年とはまた違い、ついにダートの舞台でも日本馬が世界を驚かす時が来た。歴史を変えたウシュバテソーロは、翌年のドバイワールドカップでも2着。その間にサウジCでも2着しており、8歳を迎えた今でも、世界トップクラスの馬たちと戦い続けている。

 
 2024年までの28年間(2020年はコロナによって延期)で、延べ49頭の日本馬が挑戦しているドバイワールドカップ。8頭参戦の2023年に代表されるように、近年は複数頭の日本馬で挑戦する年も増えてきている。今年も、現時点で日本のトップホースたちが参戦を表明。日本馬の活躍はもちろんだが、ドバイミーティングのメインレースとして、世界のトップホースたちの走りもしっかり目に焼きつけたい。

【了】

(文●中西友馬

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