HOME » コラム » 5選 » 悲願のGⅠ初勝利や降着……数々のドラマを生んだ電撃6ハロンの大激戦【高松宮記念名勝負 5選】 » ページ 3
BigArthur
第46回高松宮記念を制した時のビッグアーサー(写真中央)

③2016年(勝ち馬ビッグアーサー)

 スプリンターズSと並んで、JRAのG1で一番距離の短い芝1200mで行われる高松宮記念。そんな極限のスピードが問われるG1レースで、最も速いタイムで駆け抜けた馬が2016年の覇者、ビッグアーサーであった。

 この年の高松宮記念が行われた週は、土曜日の時点でかなりの高速馬場。土曜10Rの岡崎特別で、シゲルチャグチャグが1分07秒4 をマーク。1000万下(現2勝クラス)でコースレコードが更新された。日曜日になってもその傾向は変わらず、日曜7Rの平場500万下(現1勝クラス)で、ロイヤルストリートが1分07秒3をマーク。24時間経たないうちに、再びのコースレコード更新となった。

 さらには高松宮記念の前のレースとなる日曜10R、名古屋城S(現3勝クラス)では、グリュイエールが2分09秒9をマークして、芝2200mの日本レコードタイムを更新。まさにレコード祭りといった印象で、高松宮記念の勝ち時計にも注目が集まっていた。

 そんな中で行われた、2016年の高松宮記念。1番人気は、5歳牡馬のビッグアーサー。3歳4月と遅いデビューながら、デビューから無傷の5連勝でOP入り。その後も重賞ではあと一歩のレースが続いていたが、前年のオパールSでは1分06秒7で圧勝。高速馬場への適性は既に証明済みであった。

 続く2番人気は、前年3着で同じく5歳牡馬のミッキーアイル。前年の高松宮記念3着後はなかなか結果が出ていなかったが、前哨戦の阪急杯で1年4か月ぶりの勝利。ビッグアーサーと同じ単勝3.9倍の支持を受けていた。

 そして3番人気は、4歳牝馬のアルビアーノ。前年のNHKマイルC2着馬で、秋には古馬に混じってスワンSを勝利。初の1200m戦となったオーシャンSでは道中ほぼ最後方の位置どりから、直線でも行き場を失いながらの5着。不完全燃焼の競馬でも、上がり最速の末脚を見せていた。

 レースは、ローレルベローチェがハナを切り、ハクサンムーンが2番手を追走。その直後にミッキーアイルが続き、それを見る形でビッグアーサー。アルビアーノは中団から進めていた。前はバラける展開となり、前半600mの通過は32秒7という驚異的なペース。そのまま4角を回って最後の直線へと向かう。

 直線は、各馬内をあけての追い比べ。逃げるローレルベローチェをハクサンムーンが捕まえに行くが、残り200mでその外から一気にミッキーアイルが先頭へと躍り出る。しかし、その後ろにぴったりと影のようについてきていたのがビッグアーサー。残り100mでミッキーアイルを交わすと、そのまま先頭でゴール。ミッキーアイルが2着で続き、馬群をさばいて伸びてきたアルビアーノが3着となった。

 勝ったビッグアーサーは、G1の大舞台で重賞初制覇。そして注目の勝ち時計は、1分06秒7。ロイヤルストリートのコースレコードを0秒6更新するタイムをマークし、これは2025年現在でも、高松宮記念のレースレコードとして残っている。

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