宝塚から有馬記念へ!春秋グランプリ同一年制覇(1)武豊の勝利宣言虚しく…4センチ差で成し遂げた偉業
宝塚記念と有馬記念、この2レースは「グランプリ」と呼ばれ、ファン投票が行われるG1である。施行時期も、上半期・下半期それぞれの総決算として担っており、競馬ファンの注目度が高いレースである。そこで今回は、「春秋グランプリ」を同一年に制した名馬たちに注目。中でも印象に残った5頭をピックアップして紹介する。今回は1頭目。
①1999年 グラスワンダー

最初に紹介するのは、グラスワンダー。グランプリに滅法強かったグラスワンダーは、まず4歳(現3歳)時に有馬記念を勝利。朝日杯3歳S(現・朝日杯FS)以来となるG1・2勝目を飾る。
怪我によって満足に走れなかったモヤモヤを晴らす勝利で、最初のグランプリ勝利を飾ったグラスワンダー は、そこから約半年が経った5歳(現4歳)春には、宝塚記念に出走した。
戦前から、同期のダービー馬スペシャルウィークとの一騎打ちムードだったレースは、先に先頭へと立ったスペシャルウィークをグラスワンダーが捕らえて勝利。
3馬身の差をつける完勝であったが、2着スペシャルウィークから3着ステイゴールドまでは、さらに7馬身の大差。見立て通りの2強対決であった。
そしてまた半年が経ち、有馬記念連覇と春秋グランプリ連覇がかかった有馬記念に出走。またしてもライバルは、スペシャルウィークであった。
今度は、道中からグラスワンダーが前でスペシャルウィークが後ろ。直線で抜け出したグラスワンダーにスペシャルウィークが迫り、ピッタリ並んだまま入線。
スペシャルウィーク鞍上の武豊騎手はウイニングランを行い、ガッツポーズを繰り返したが、長い写真判定の末、着順掲示板はグラスワンダーの勝利を伝えた。その差わずかに4センチであった。
凌ぎ切ったグラスワンダー は、有馬記念連覇と春秋グランプリ連覇をダブルで達成。スピードシンボリに次ぐ史上2頭目となる、グランプリ3連覇の偉業を成し遂げた。
翌年、盟友スペシャルウィークが引退した中でグラスワンダーは現役を続行し、宝塚記念で前人未到のグランプリ4連覇に挑戦。しかしそこに立ち塞がったのは、こちらも前人未到の記録を達成する、“世紀末覇王”であった。
【了】
(文●中西友馬)
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