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まさに重賞級だった“伝説の新馬戦”(1)後の2冠馬が2着――。評価が高まり続ける近年屈指のデビュー戦

text by TOM

競走馬としての第一歩を踏み出す「新馬戦」。多くのサラブレッドが未来への期待を背負いながらデビューする舞台だが、振り返ってみると、のちに競馬史に名を刻む名馬たちがくしくも同じレースに出走していた例がある。今回は、そんな「伝説の新馬戦」を5つ厳選して紹介する。1レース目は2023年に行われた新馬戦。

BondGirl
1着ボンドガール(写真中央)、2着チェルヴィニア(写真右)、4着マスクオールウィン(写真左)

勝ち馬:ボンドガール(2023年6月4日、東京・芝1600m(牝限))

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1着 ボンドガール (2024年秋華賞2着)
2着 チェルヴィニア(2024年優駿牝馬、秋華賞)
3着 コラソンビート(2023年京王杯2歳、阪神JF3着)
4着 マスクオールウィン(2024年フェアリーS2着)
6着 キャットファイト(2024年アネモネS)
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 近年は育成技術が進み、有力2歳馬が早期デビューするケースが増えている。サイバーエージェント社長・藤田晋氏が所有するボンドガールが優勝したこの新馬戦も、そうした時代が生み出した「伝説の新馬戦」だ。

 このレースで単勝1.8倍の1番人気に支持されたのは、翌年オークス&秋華賞を制し、最優秀3歳牝馬に選ばれるチェルヴィニア。2番人気のボンドガールも、24年のG1秋華賞など重賞で2着4回の戦歴を残している。

 レースでは、チェルヴィニアが好スタートから主導権を握り、前半3ハロンを37秒1の超スローペースで逃げる展開。ボンドガールは好位3番手のインを折り合って追走した。直線残り200mで外に持ち出されると、鋭く伸びてチェルヴィニアとの競り合いを3/4馬身差で制した。

 3着のコラソンビートは、その後未勝利戦から3連勝でG2京王杯2歳Sを制し、G1阪神JF3着、翌年のG2フィリーズレビュー2着と活躍。4着のマスクオールウィンも、G3フェアリーSや朱鷺S(L)で2着に入り、短距離路線で安定した成績を残している。

 6着のキャットファイトは道中で掛かる場面もあったが、翌年アネモネS(L)を勝利。8着のガジュノリも昨年末のチバテレ杯を勝ち上がり、オープンクラス入り目前となっている。

 “伝説の新馬戦”と称されたこのレースは、現4歳世代の未来を占う重要な一戦となった。今後さらなる飛躍を遂げる馬たちの活躍に注目したい。

【了】

(文●TOM

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