日本競馬史上最強のスプリンター「ロードカナロア」産駒の最高傑作は?(4)遅咲きのレコードホルダー
ロードカナロアは、現役時代6つのG1タイトルを獲得し、最強のスプリンターとして名を馳せた。特に当時芝スプリントで日本馬が歯の立たなかった香港に乗り込み、香港スプリントを連覇したことは歴史に残る大偉業であった。香港では“龍王”と称された彼の血を受け継ぐ、後継馬を紹介する。今回はその4頭目ファストフォースだ。
ファストフォース
ダノンスマッシュと同じく、高松宮記念で父仔制覇を果たしたのが2世代目のファストフォースであった。
母のラッシュライフは現役時代に重賞で2着2回の実績を残しており、兄のアデイインザライフは新潟記念を勝っている良血馬であった。
しかし2歳時からG1に出走していたダノンスマッシュに対して、こちらはデビュー自体が3歳の6月とかなり遅め。しかも後にスプリントG1を勝つ馬にも関わらず、芝2400mでのデビューであった。
デビュー戦で12着に敗れると、その後も未勝利戦をなかなか勝てず、6戦0勝でホッカイドウ競馬に転出となった。
そして4歳春からホッカイドウ競馬で新たな船出を切ると、4戦3勝の成績を残して中央に再転入を果たす。
中央1勝クラスからの再スタートとなったが、初の芝1200m戦で中央初勝利を挙げる。さらに2勝クラスでも連勝を果たすと、5歳夏のCBC賞では格上挑戦で重賞初出走。3勝クラスの身ながら逃げ切り、重賞初制覇を果たした。勝ちタイムは1分6秒0の日本レコードであった。
その後1年半以上勝利から遠ざかっていたが、迎えた7歳春の高松宮記念。雨によって不良馬場で行われた一戦で、中団からレースを進めると、直線は馬群の真ん中から力強く伸び、単勝12番人気の低評価に反発して勝利。
自身のG1初制覇を飾っただけでなく、6歳秋から主戦を務めていた鞍上の団野騎手にとっても、嬉しいG1初勝利となった。
CBC賞を1分6秒0で逃げ切ったのに対して、高松宮記念は1分11秒5で差し切り勝ち。どんな馬場でもどんな戦法でも力を発揮できる、稀有なタイプであった。
このレースを最後に現役生活を引退。種牡馬入りが発表され、レコードホルダーの豊かなスピードが産駒にも受け継がれることが期待される。
【了】
(文●中西友馬)
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