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【チャンピオンズC】過去5年分のレース傾向をテキストで振り返る(5)常識を覆したレモンポップ

text by 中西友馬

今週1日、中京競馬場で日本におけるダート競走の最高峰『チャンピオンズカップ』が行われる。過去5年のチャンピオンズCでは、クリソベリルの無敗G1制覇やテーオーケインズの圧巻の走り、初挑戦の距離を克服したレモンポップの快挙など、多くの名勝負が繰り広げられてきた。今年の頂上決戦に向けて、この記事では過去5年のレースの勝負のポイントをテキストで振り返っていく。最後は2023年のレース。

Lemon Pop

2023年チャンピオンズカップ

着順 馬名 騎手 タイム オッズ 通過順 前走 前走
着順
1 レモンポップ 坂井瑠星 1:50.6 3.8 (1番人気) 1-1-1-1 マイルCS南部杯(盛岡) 1着
2 ウィルソンテソーロ 原優介 1:50.8 92.0 (12番人気) 13-13-13-13 JBCクラシック(大井) 5着
3 ドゥラエレーデ B.ムルザバエフ 1:50.9 31.2 (9番人気) 2-2-2-2 セントライト記念(中山) 8着

 

上位人気馬の結果

人気 オッズ 結果 馬名 騎手 前走 前走
着順
1 3.8 1着 レモンポップ 坂井瑠星 マイルCS南部杯(盛岡) 1着
2 4.2 10着 セラフィックコール M.デムーロ みやこS(京都) 1着
3 4.4 11着 クラウンプライド 川田将雅 コリアC(ソウル) 1着

 

「前年好走の実績馬vs未だ底を見せていない新星」

 1番人気は、同年のフェブラリーS覇者レモンポップ。国内では12戦して9勝2着3回と、連対率100%。この馬最大の懸念材料は、初挑戦の1800mという距離であった。2番人気は、3歳馬のセラフィックコール。こちらはデビューから5戦5勝と未だ負けなし。クリソベリル以来となる無敗のチャンピオンズカップ制覇に挑んでいた。3番人気は、前年2着のクラウンプライド。コリアCで海外重賞2勝目を飾っての出走であった。そして4番人気は、前年4着のテーオーケインズ。6歳を迎えても安定した走りを見せていたが、勝利からは1年以上遠ざかっていた。年内での現役引退が発表されており、これが引退レースとなる可能性もあった。

 この4頭までが単勝10倍を切る人気に推され、発走を迎えた。レースは、大外枠からでもハナを主張したレモンポップの逃げ。ドゥラエレーデが2番手につけ、テーオーケインズとクラウンプライドはほとんど並ぶようにして好位を追走。出脚の悪かったセラフィックコールは、最後方からとなっていた。ハイペースとまではいかないまでも前2年よりは多少速い流れでレースは進み、その隊列のまま4角を回って最後の直線へと向かう。

 直線に入っても、レモンポップが先頭をキープ。その後ろからテーオーケインズとドゥラエレーデが併せ馬の形で追ってくるが、なかなか前との差が詰まらない。ゴール前では、直線で外に出したウィルソンテソーロも追い込んできたが、それらを振り切ったレモンポップが逃げ切り勝ち。12番人気の低評価を覆したウィルソンテソーロが2着に入り、さらにクビ差の3着がドゥラエレーデ。結果的にこれが引退レースとなったテーオーケインズは4着、セラフィックコールとクラウンプライドはそれぞれ10着と11着に敗れた。

 勝ったレモンポップは、初の1800mに加えて試練の大外枠もこなしてG1級3勝目。フェブラリーSとチャンピオンズカップの同年優勝は、史上4頭目の快挙であった。

【了】

(文●中西友馬)

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