日本競馬史上最強のスプリンター「ロードカナロア」産駒の最高傑作は? (2)超良血の皐月賞馬
ロードカナロアは、現役時代6つのG1タイトルを獲得し、最強のスプリンターとして名を馳せた。特に当時芝スプリントで日本馬が歯の立たなかった香港に乗り込み、香港スプリントを連覇したことは歴史に残る大偉業であった。香港では“龍王”と称された彼の血を受け継ぐ、後継馬を紹介する。今回はその2頭目サートゥルナーリアだ。
サートゥルナーリア
アーモンドアイが牝馬3冠を達成した2018年。ひとつ下となる2世代目にも大物がデビューしていた。
それが日米オークス馬のシーザリオを母に持ち、エピファネイアとリオンディーズという2頭のG1馬の弟、サートゥルナーリアである。
デビューから3戦3勝でG1ホープフルSを制覇し、ロードカナロア産駒として2頭目のG1ホースとなった超良血馬は、勢いそのままに無敗の皐月賞馬という称号を手に入れた。
もちろんダービーにも断然人気で向かうこととなったサートゥルナーリアだが、ここで思わぬアクシデントが襲う。騎乗予定であった主戦のルメール騎手が騎乗停止となってしまい、初騎乗のレーン騎手で向かうこととなったのだ。
「テン乗りでダービーは勝てない」は有名な話で、1954年のゴールデンウエーブと岩下密政騎手のコンビ以来、64年間テン乗り(初騎乗)での勝利はなかった。結果は単勝1.6倍の支持に応えられず4着。無敗で皐月賞を制した天才でも、ジンクスを破ることはできなかった。
その後、神戸新聞杯と金鯱賞のG2タイトルは2つ手に入れたが、G1ではあと一歩届かない競馬が続き、4歳の宝塚記念後に脚部不安を発症。5歳となってすぐに現役引退となったが、アーモンドアイ同様に中距離のG1を勝てたという事実は、父ロードカナロアにとっては大きな勲章となった。
さらに兄のエピファネイアが、初年度産駒から無敗の牝馬3冠馬デアリングタクトを輩出したこともあり、サートゥルナーリアの種牡馬価値も高騰。初年度から200頭を超える種付け頭数が集まった。産駒は今年2024年にデビューしている。
【了】
(文●中西友馬)
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