意外過ぎ…?クラシック無冠に終わった名馬(5)嘘だと言ってよ…電撃引退で世界No.1ホースはまさかの結末
ダート馬や短距離馬を除くと、デビューした多くの馬が最初に目標とするのが、牡牝クラシック。そこを目標に、逆算して出走するレースを決めるのが、現代のスタンダードである。そこで今回は、クラシックで無冠に終わった名馬を5頭ピックアップ。牡牝クラシック3冠のうち2戦以上に出走しながら、勝利を逃した名馬を紹介する。今回は5頭目。

⑤イクイノックス
最後に取り上げるのは、イクイノックス。2歳8月にデビューしたイクイノックスは、父はこの世代が初年度産駒となる、
新種牡馬キタサンブラック、母はマーメイドS勝ち馬のシャトーブランシュで、ひとつ上の半兄はラジオNIKKEI賞を勝ったヴァイスメテオールという血統馬であった。
デビュー戦は先行集団のインで脚を溜め、逃げ馬の内から抜け出すレースぶり。残り200mからは後続をグングンと突き放して6馬身差の圧勝。
続く東スポ杯2歳Sを制し、2戦2勝で2歳シーズンを終えたイクイノックスの次走は、皐月賞に直行という異例なもの。
その皐月賞は、トリッキーな中山コースで試練の大外枠となり、最後はジオグリフにねじ伏せられて2着。続くダービーでも大外枠を引き、先に抜け出したドウデュースにクビ差及ばず2着に敗れた。
夏を経て、秋は菊花賞には向かわず、クラシックは無冠が決定。代わって、古馬との初対戦となる天皇賞(秋)を選択した。
大逃げしたパンサラッサが粘りを見せるも、ゴール前で捉えてG1初制覇を果たす。続く有馬記念も快勝して、年度代表馬に輝いた。
年が明けて4歳となったイクイノックスは、ドバイシーマクラシックで初の海外遠征。デビュー以来初めてハナを切る競馬を見せると、海外のライバルに影を踏ませぬ逃走劇でレコード勝ち。レース後のランキング更新で、世界ランク1位も獲得した。
凱旋帰国を果たしたイクイノックスは、宝塚記念に出走。逃げ切った前走とは一転、後方2番手からのレースとなったが、大外から馬群をひと飲み。
着差自体はわずかであったが、どんなレースもできる、脚質の自在性を見せる勝利となった。
夏を経て、イクイノックスは連覇を目指して天皇賞(秋)に出走。ジャックドールの刻むハイペースを3番手で楽に追走すると、鞍上のゴーサインに応えて抜け出す。
後方待機勢が襲いかかるも、セーフティリードを保って快勝。1分55秒2という日本レコードのおまけつきであった。
続くジャパンカップでは、同年の牝馬3冠馬リバティアイランドとの直接対決。パンサラッサが大逃げで作り出したハイペースを3番手で追走するイクイノックスと、その直後でマークするリバティアイランド。
イクイノックスが残り200mで先頭に立つと、リバティアイランドは並びかけることもできず。4キロの斤量差をものともせずに4馬身差で圧勝した。
そしてレース後、検討していた有馬記念の回避と電撃引退が発表され、イクイノックスは世界ランク1位のままターフに別れを告げた。
その後は種牡馬入りが発表され、初年度の種付け料は破格の2000万円。初年度産駒のデビューは2027年の予定で、父には縁のなかったクラシック制覇の期待もかかる。
【了】
(文●中西友馬)
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