いつまでも語り継ぎたい…クラシック二冠馬(5)早逝が惜しまれる…G1馬続出、超絶ポテンシャルのダービー馬
皐月賞、日本ダービー、菊花賞──クラシック三冠。その全ての獲得は、競馬において特別な栄誉である。だが、あと一歩届かなかった馬たちの中にも、名馬は数多く存在する。そう、二冠を制する事もまた、至難の業。2025年現在、その偉業を成し遂げた馬はわずか26頭。今回はそんな二冠馬の中から5頭を取り上げ、紹介したい。今回は5頭目。

⑤ドゥラメンテ(2015年)
「荒々しく、はっきりと」という音楽用語から馬名が取られたドゥラメンテ。デビュー戦から出遅れ、2戦目は枠内で立ち上がる気の悪さを見せながら、レースではその影響を全く感じさせない豪脚で追い込んでくる。それは一冠目の皐月賞でも同じだった。
道中は後方にいたドゥラメンテだったが、4コーナーでまるで車のドリフトのように急旋回し、そこから一気に加速。瞬く間に前を行く馬たちを捉え、最後は2着のリアルスティールを1と1/2馬身突き放して勝ち切った。
その上り3F・33秒9は、2025年9月現在レース史上2位タイで、勝ち馬としては単独1位。これを上回ったのは2022年に3着となったドウデュースのみというところからも、この馬の凄さが分かるだろう。
そしてその衝撃は、二冠目となる日本ダービーでも続いた。スタートをすんなり出て、いつも通り中団の定位置から進めると、直線は外から先頭に立って勝利。前走で見せた荒々しさは鳴りを潜めたものの、さらに強さが増した内容であった。
勝ちタイムの2分23秒1は、当時のダービーレコードを0秒1更新する時計。ディープインパクトやキングカメハメハが記録していたタイムを上回る速さでの二冠達成に、「三冠は当確」という声も多かった。
しかし、この後に骨折が判明。翌年に復帰した後も強さは健在だったが、再度のG1制覇は叶わなかった。種牡馬入り後も急性大腸炎を発症し早逝。子どもたちは僅か5世代のみのとなってしまった。残された産駒からは、リバティアイランドやスターズオンアースなどの名馬が誕生している。
ドゥラメンテ自身が出走できなかった菊花賞も、2025年9月現在でタイトルホルダーとドゥレッツァで2勝を挙げ、夢の続きを叶えた。短い生涯で競馬界を沸かせた彼の蹄跡は、競馬界にしっかりと刻み込まれている。
【了】
(文●小早川涼風)
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