いつまでも語り継ぎたい…クラシック二冠馬(4)早逝が惜しまれる…5世代のみでG1馬続出の超絶ポテンシャル
皐月賞、日本ダービー、菊花賞──クラシック三冠。その全ての獲得は、競馬において特別な栄誉である。だが、あと一歩届かなかった馬たちの中にも、名馬は数多く存在する。そう、二冠を制する事もまた、至難の業。2025年現在、その偉業を成し遂げた馬はわずか26頭。今回はそんな二冠馬の中から5頭を取り上げ、紹介したい。今回は4頭目。

④ゴールドシップ(2012年)
皐月賞では荒れた内からワープするように伸び、上り最速で一冠目を手にしたゴールドシップ。先行馬にとって有利な流れとなった日本ダービーは5着に終わったものの、秋初戦の神戸新聞杯は完勝といえる内容で1着になると、ラスト一冠の菊花賞は“盤石”という評価が強くなった。
なぜならダービー馬のディープブリランテは故障により戦線を離脱し、2着のフェノーメノも天皇賞(秋)へ。春に後塵を拝したライバルが不在だった。
加えて、父がステイゴールドで母の父がメジロマックイーンというゴールドシップの配合は、前年に牡馬三冠を達成したオルフェーヴルと同じもの。血統的な後押しもあり、抜けた1倍台の人気に推されていた。
レースは逃げたビービージャパンが道中を60秒9-62秒1という緩めのペースを作る。これを見切って各馬が2周目の坂の上りで押し上げ始めた。最初に動いたのは宝塚記念で5着に入った実績馬マウントシャスタ。続くようにゴールドシップも外から動き、一気にペースは締まり、レースは持久戦の様相を呈していった。
そして4コーナー、早めに動いたマウントシャスタはバテ始めたが、先頭へ抜け出したゴールドシップは全く脚色が鈍るどころか、追ってきたスカイデグニティやベールドインパクトを突き放す。
そのまま上り最速の末脚でゴール坂を駆け抜けて二冠を達成した。その姿は、まさに無類のステイヤーと呼ぶにふさわしいもの。勢いそのままに暮れの有馬記念も制し、日本競馬界の主役候補に躍り出て行った。
【了】
(文●小早川涼風)
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