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天皇賞春秋制覇を成し遂げた馬(3)時は世紀末…日本競馬はある1頭が無双していた…

text by 中西友馬

天皇賞の春・秋連覇——。近年の日本競馬においてはローテーションの多様化や馬の適性重視が進み、ますます達成が難しくなっている。だからこそ、過去にその快挙を成し遂げた馬たちの凄みは一層際立つ。この記事では、同一年に天皇賞春と秋を制した5頭の名馬たちにスポットを当て、その偉業を順に紹介していく。今回は3頭目。

2000年天皇賞(秋)を制したテイエムオペラオー
2000年天皇賞(秋)を制したテイエムオペラオー

③テイエムオペラオー(2000年)

 タマモクロスからスペシャルウィークまで、10年以上もの間現れることのなかった、天皇賞春秋制覇。しかし、スペシャルウィークが去った2000年の芝中長距離では、1頭の競走馬が無双状態となる。それが「世紀末覇王」テイエムオペラオーであった。

 前年のクラシックでは、アドマイヤベガやナリタトップロードと3冠を分け合い、もちろん世代トップクラスではあったものの、圧倒的な成績を残していたというわけではなかったテイエムオペラオー。

 しかし、年が明けて2000年を迎えると、京都記念と阪神大賞典を連勝。同期のライバルであるナリタトップロードやラスカルスズカを前哨戦で下し、天皇賞(春)も1番人気で出走となった。

 すると、好位追走から直線で抜け出す横綱相撲で、ラスカルスズカとナリタトップロードを振り切って勝利。重賞3連勝で皐月賞以来となるG1・2勝目を挙げる。

 続く宝塚記念、秋始動戦の京都大賞典も制して、5連勝で迎えた天皇賞(秋)。宝塚記念で現れた、新たな同期のライバルであるメイショウドトウが2番人気に支持される中、当然テイエムオペラオーは1番人気。そしてレースも、先に抜け出したメイショウドトウをあっさりと交わして勝利を収めた。

 テイエムオペラオーは引退までにG1を7勝するのだが、うち6勝は2着との着差が1馬身以内。そんな中、この天皇賞(秋)だけは、2着馬のメイショウドトウに2馬身半の差をつける快勝で、天皇賞春秋制覇を達成した。

 ちなみに、テイエムオペラオーは翌年の天皇賞(春)も制して、天皇賞3連覇を達成。これは2025年現在でも、テイエムオペラオーのみが達成している記録である。

【了】
(文●中西友馬)

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