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天皇賞春秋制覇を成し遂げた馬(2)タマモクロスから10年以上現…重い扉をこじ開けたのは第65代ダービー馬

text by 中西友馬

天皇賞の春・秋連覇——。近年の日本競馬においてはローテーションの多様化や馬の適性重視が進み、ますます達成が難しくなっている。だからこそ、過去にその快挙を成し遂げた馬たちの凄みは一層際立つ。この記事では、同一年に天皇賞春と秋を制した5頭の名馬たちにスポットを当て、その偉業を順に紹介していく。今回は2頭目。

1999年天皇賞(秋)を制したスペシャルウィーク
1999年天皇賞(秋)を制したスペシャルウィーク

②スペシャルウィーク(1999年)

 次に紹介するのは、1999年に天皇賞春秋制覇を達成した、スペシャルウィーク。

 タマモクロスが1988年に達成してから、10年以上現れていなかった天皇賞春秋制覇だが、その重い扉をこじ開けたスペシャルウィークは、前年のダービー馬であった。

 秋は菊花賞、ジャパンカップと連敗を喫するも、1999年はAJCC、阪神大賞典と連勝。前年の菊花賞馬セイウンスカイや前年覇者メジロブライトを抑えて、堂々の1番人気で天皇賞(春)へと出走していた。

 レースは、やはりその3頭による争い。粘り込みを図るセイウンスカイの外からスペシャルウィークが並びかけ、さらにそれをマークするように進めたメジロブライトも追い込んでくる。

 メジロブライトとの一騎打ちとなった争いは、最後まで前に出させなかったスペシャルウィークが勝利。ダービー以来となるG1・2勝目を飾った。

 しかし、続く宝塚記念では同期グラスワンダーに敗れて2着。秋始動戦となった京都大賞典ではまさかの7着に敗れ、天皇賞春秋制覇のかかる天皇賞(秋)は、4番人気で挑むこととなった。

 前走の京都大賞典からマイナス16キロとなる、470キロで出走したスペシャルウィークは、後方から末脚を爆発させて勝利。ゴール後には実況が、「なんとスペシャルウィーク!」という言葉を発するほど、京都大賞典の内容が悪く、皐月賞以来となる2000mの距離に対しても、懐疑的なファンが多かったようだ。

 史上2頭目となる天皇賞春秋制覇を達成したスペシャルウィークは、続くジャパンカップで凱旋門賞馬モンジューらを撃破。さらに引退レースとなる有馬記念では、グラスワンダーと歴史に残る激闘を演じ、ターフを去っていった。

【了】
(文●中西友馬)

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