偉大なる王の血を未来へ…キングカメハメハ後継種牡馬(3)つくづく早逝が惜しまれる…荒々しさ全開の超良血馬
現役時代は夢半ばでターフを去ることとなり、種牡馬入りしたキングカメハメハ。サンデーサイレンス産駒が多数を占めていた当時の日本競馬では、非サンデー系の血統は重宝され、年間種付け頭数で、当時の日本記録も達成した。そこで今回は、数多くの産駒の中から、種牡馬としての後継馬候補となる5頭を厳選し、順に紹介していく。今回は3頭目。
③ドゥラメンテ
続いて紹介するのは、種牡馬としての活躍から、キングカメハメハの正統後継者としてのイメージも強いドゥラメンテ。
エリザベス女王杯を連覇した母アドマイヤグルーヴにとって、ドゥラメンテは最後の産駒。アドマイヤグルーヴはエアグルーヴの仔であるため、同じキングカメハメハ産駒のルーラーシップは、ドゥラメンテの叔父にあたる血統ということになる。
そんな超良血馬であるドゥラメンテの現役時代の印象は、圧倒的なポテンシャルを持ちながらも名前の通り「荒々しい馬」といったイメージ。新馬戦や共同通信杯など、出遅れや折り合いを欠いての敗戦があり、賞金の上積みが叶わないまま皐月賞を迎える。
しかし、皐月賞の登録馬は36年ぶりにフルゲート割れ。幸運を引き寄せて出走が叶うと、共同通信杯で敗れていたリアルスティールを豪快に差し切り、G1初制覇。
ただ、直線で外に持ち出すときに大きく膨れて他馬の進路を妨害してしまい、初コンビとなったミルコ・デムーロ騎手は開催4日間の騎乗停止。やはり荒々しさは健在であった。
続くダービーもレースレコードで制し、史上8頭目の3冠制覇に期待がかかったが、放牧中の骨折によって長期離脱。菊花賞に挑戦することはできなかった。
翌春の中山記念で復帰し、復帰戦を見事勝利。その後のドバイシーマCと宝塚記念でも2着に好走したが、宝塚記念の入線後に歩様が乱れ、靭帯や腱の損傷が発覚。競走能力喪失の診断が下され、電撃引退となった。
種牡馬としては、初年度産駒からG1・3勝のタイトルホルダーを輩出。また3世代目の中からは、リバティアイランドが誕生。ロードカナロアと同じく、3冠牝馬の父となった。
2021年に9歳という若さで天国に旅立ってしまったため産駒は5世代のみだが、数少ない産駒の中から活躍馬を多数輩出した。さらには死去後の2023年には、ディープインパクトが長らく守ってきたリーディングサイアーの座を獲得。かえすがえすも早逝が惜しまれる名馬であった。
【了】
(文●中西友馬)
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