もはや反則級…後続を絶望させた異次元の圧勝劇(5)リベンジの仕方がエグすぎ…有馬記念史上最大の着差で勝利
競馬では、2000m先のゴールでハナ差の決着になることもあれば、同じ位置からスタートしたとは思えないほどの着差がつくレースもある。特に重賞では、互いに実力があるのに、一方が相手を圧倒する姿は強烈なインパクトを残す。そこで今回は圧勝経験のあるG1馬に注目。印象的な勝ち方をした5頭をピックアップして紹介する。今回は5頭目。
⑤シンボリクリスエス
~2003年 有馬記念~
2003年のジャパンCで、タップダンスシチーに屈辱的な1秒6差(9+3/4馬身差)をつけられたシンボリクリスエス。しかし、マル外最強馬と呼ばれたシンボリクリスエスが、同じマル外であるタップダンスシチーに2戦続けて負けるわけにはいかない。
そして、シンボリクリスエスに残されたリベンジの機会はあと1回のみ。4歳シーズンいっぱいで現役引退を発表していたため、2003年の有馬記念がシンボリクリスエスのラストランとなっていた。
ジャパンCと同じく、シンボリクリスエスが1番人気(単勝オッズ2.6倍)。しかし、断然人気であったジャパンCと違い、2番人気(単勝オッズ3.9倍)のタップダンスシチーとの対決に注目が集まっていた。
有馬記念は晴天に恵まれ、馬場も良馬場でレースは行われた。タップダンスシチーが若干立ち遅れるスタートとなったが、アクティブバイオの内から、押してハナを取りに行く。3番手にザッツザプレンティがつける形となるが、そのザッツザプレンティの動きがおかしい。
1周目のスタンド前で抑え切れない様子で先頭に立つと、それに連れる形でアクティブバイオも2番手に上がる。タップダンスシチーは離れた3番手となり、その後ろの4番手集団にシンボリクリスエスがつける。
レースが動いたのは、残り4ハロンを切った辺り。シンボリクリスエスと同じ集団にいたリンカーンが最初に動き、残り3ハロンで先頭。呼応するようにシンボリクリスエスも続き、苦しい展開となったタップダンスシチーは後退。
直線では、リンカーンとシンボリクリスエスの一騎打ちになるかと思われたが、そこからシンボリクリスエスが前に出ると、みるみるうちに差が広がっていく。最終的にはタップダンスシチーがザッツザプレンティにつけた差と同じ9馬身の差をリンカーンにつけて、見事にラストランを飾った。
ザッツザプレンティとアクティブバイオに翻弄された2番人気のタップダンスシチーは、シンボリクリスエスから2秒3離された8着に敗れた。
見事にジャパンCのリベンジを果たし、トップホースが集う中で9馬身差の“圧勝”を飾ったシンボリクリスエスは、有馬記念当日に引退式を実施。まだやれるではなく、絶頂期のままターフを去った。
【了】
(文●中西友馬)
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