HOME » セレクト » あまりに儚い結末…衝撃のGⅠ落馬(3)無念…踏んだり蹴ったりの三浦皇成、悲願達成は4コーナーの彼方へ

あまりに儚い結末…衝撃のGⅠ落馬(3)無念…踏んだり蹴ったりの三浦皇成、悲願達成は4コーナーの彼方へ

text by 中川大河

“人馬一体”という言葉があるように、競馬において騎手と馬の相性は非常に重要な要素の一つだ。しかし、どれだけ人馬の息がぴったり合っていても避けて通れないものがある。

それがスタートからゴールするまでの間に、騎手が馬の背中から落ちてしまう、いわゆる「落馬」。時速60キロ以上で疾走するサラブレッドからの落馬は大きな危険を伴うことは、競馬ファンなら言わずもがなだろう。

それでも落馬は時に起こってしまう。今回は過去のG1において、ファンに強いインパクトを残した落馬を5つ選定。ただし、落馬を伴わない競走中止や、結果的に予後不良に至った落馬などは除いた。今回は3頭目の紹介。

2020年ホープフルSに出走した時のランドオブリバティ(写真右)
2020年ホープフルSに出走した時のランドオブリバティ(写真右)

③2020年・ホープフルS(ランドオブリバティ)

~4角逸走→落馬で三浦皇成の夢散る~

 ルーキーイヤーの2008年に91勝を挙げた三浦皇成騎手。武豊騎手の持つ新人最多勝記録を21年ぶりに更新し、“スーパールーキー”の名をほしいままにした。

 しかし、その後はケガなどもあり、成績は徐々に悪化。2017年には自己ワーストの24勝に終わった。そんな三浦騎手が復活の兆しを見せたのが2020年。最終的に自己最多となる102勝をマークした年だ。

 三浦騎手にとってその年の最後の騎乗となったのが、2歳王者を決めるホープフルS。2番人気に支持されたランドオブリバティとのコンビで、人馬ともにG1初制覇の好機を迎えていた。

 そのレースで1番人気に推されたのはダノンザキッド。ランドオブリバティと同じく2戦2勝ながら、単勝オッズ2.1倍とやや抜けた人気を背負っていた。

 対するランドオブリバティは2戦目の芙蓉Sで同コースを経験済み。しかも2着に3馬身半差をつける快勝で、コース適性を証明していた。何より多くのファンが三浦騎手のJRA・G1初制覇を願っていたはずだ。

 そんな中、三浦騎手は意外すぎる幕切れを迎える。1コーナーまでにタイトルホルダーとのハナ争いを制し、1000m通過1分1秒9の理想的なペースに落とし込んだ三浦騎手とランドオブリバティ。あとは直線でどれだけ粘り込めるかという展開だったが……。

 やや外に膨れ気味に4コーナーへ差し掛かると、なんと直線を向くことなく、外ラチ沿いに逸走。スピードを落としながら、そのままラチ近くで三浦騎手を振り落としてしまったのだ。

 三浦騎手は悲願を逃しただけでなく、左胸部打撲と診断され、予定していた翌日の騎乗もすべて乗り替わり。その後もJRAでのG1連敗は伸び続けているが、ファンは今なお、三浦騎手の“その時”が訪れるのを待ち望んでいる。

【了】

(文●中川大河)

【関連記事】
あまりに儚い結末…衝撃のGⅠ落馬(1)
あまりに儚い結末…衝撃のGⅠ落馬(4)
あまりに儚い結末…衝撃のGⅠ落馬(全紹介)