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あまりに強すぎ…日本馬を蹴散らした香港の伝説的名馬(5)日本チャンピオンを返り討ち!横綱相撲で怒涛の連勝

text by 中西友馬

近年、国内トップホースたちの年末の選択肢として定着しつつある香港国際競走。1993年の香港マイルにホクセイシプレー(14着)が挑戦して以降、数多くの日本馬が香港へ遠征している。こうした日本と縁の深い香港競馬の歴史の中で、今回は時代を象徴する「香港最強馬」に注目。歴史的名馬と称される5頭を厳選して紹介する。今回は5頭目。

2024年香港スプリントを制したカーインライジング
2024年香港スプリントを制したカーインライジング

⑤嘉應高昇(カーインライジング)

生年月日:2018年3月18日
毛色:鹿毛
父:Shamexpress
調教師:D.ヘイズ
産地:ニュージーランド
通算成績:15戦13勝[13-2-0-0](2025年6月25日現在)
主な勝ち鞍:2024香港スプリント、2025チェアマンズスプリントプライズ

 ロマンチックウォリアーが1度目の香港Cを勝利する直前の、2023年12月。そのタイミングでデビューを果たしたのが、カーインライジング。デビュー勝ちを果たした後は、2戦連続で2着と足踏みしたが、そこから連勝街道を突き進む。

 初めて香港一線級と戦うこととなったジョッキークラブスプリントでは、単勝1.1倍の支持に応えて勝利。後続を3馬身以上引き離し、短距離戦としては圧倒的な差をつけた。続く香港スプリントでは、地元の大将格として日本馬3頭を迎え撃ち、きっちり勝利。2着馬との着差は半馬身であったが、番手から抜け出す横綱相撲で着差以上の強さを見せつけた。

 その後も地元に敵なしといった走りで連勝を伸ばし、チェアマンズスプリントでは、高松宮記念を制して日本のトップスプリンターとなったサトノレーヴと再戦。好位の外めから抜け出すと、ラスト50mは完全に流す余裕を見せながら快勝。日本のチャンピオンをアッサリと返り討ちにし、デビュー4戦目から続いている連勝を12まで伸ばした。

 これまでの名馬と比較しても余裕のある勝ちっぷりで、短距離戦であるにも関わらず、スタートから強く押すことなくとも好ポジションが取れるのは大きなセールスポイント。追っての反応も実に早く、最後は余裕を持っての勝利が多い印象だ。これから5歳シーズンを迎えることとなるが、現在12まで伸びている連勝がどこまで続くかにも注目が集まる。

 今後のローテーションとしては、豪州のジ・エベレストを目指すという情報が出てきている。それが実現となれば、これまで全てシャティンで走ってきたカーインライジングにとって初の海外でのレースとなる。その走りを豪州で見せた後には、翌年以降の高松宮記念やスプリンターズSでの日本遠征もあるのではないかと期待してしまう。いずれにしても、歴代の香港最強馬たちに並んで超えていく存在になれるのか、楽しみに見ていきたい馬である。

【了】

(文●中西友馬

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