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栄光への第一歩…早期デビューでGⅠ馬へ駆け上がった逸材(4)真性のバケモノ…! 新時代の常識を作った名馬

text by 小早川涼風

ダービーが終わった翌週の6月から、またクラシックに向けた戦いが幕を開ける競馬界。近年では新馬戦の開幕週から有力馬が輩出されており、翌年の活躍を見据える上でも非常に重要なレースとなることも珍しくない。今回は、6月のデビュー戦で勝利を飾り、後にG1を制した名馬を5頭取り上げる。今回は4頭目。

2019年皐月賞を制したサートゥルナーリア
2019年皐月賞を制したサートゥルナーリア

④サートゥルナーリア

父:ロードカナロア
母:シーザリオ
生年月日:2016年3月21日
性別:牡馬
毛色:黒鹿毛
調教師:角居勝彦(栗東)

 名牝シーザリオの9番仔としてデビューしたサートゥルナーリア。兄にエピファネイアやリオンディーズなど、既にG1を制した馬たちがいることもあって大きな期待を集めていた同馬がデビューした2018年6月10日の新馬戦では、いきなり1.1倍の支持を受けていた。

 阪神の芝1600mでゲートインを迎えたサートゥルナーリア。スタートが切られると道中は最内で我慢。スピードに任せて逃げるのではなく、先を見据えたレースぶりで勝負所を迎えた。しかし、直線に向いてもなかなか前が開かない。万事休すかと思われたその瞬間、同馬の外にスペースが空いた。

 瞬間、一気に末脚を爆発させたサートゥルナーリアは坂の上りで抜け出し、後続を突き放す。そのまま2着争いを繰り広げる後続を尻目に差を広げ、最後は流してゴール坂を駆け抜けた。同馬が最後の600mで記録したラップは12.0-11.1-11.4。残り400mから200mで進路ができた際、急激にピッチが上がっていることを見ても速力の高さが見て取れる。大舞台を制した兄たち同様、今後の活躍を予感できる内容であった。

 その評価通り、2歳時は3戦無敗でホープフルSを勝利してG1初制覇。そこから直行した皐月賞も危なげなく勝ち切って、ディープインパクト以来14年ぶりとなる無敗の皐月賞馬に輝いた。彼以降、暮れのG1から一冠目に直行という、いわゆる「ぶっつけローテ」がよく使われるようになった。現代では珍しくなくなったこの臨戦過程を主流にしたサートゥルナーリアは、新時代の礎を作った1頭なのかもしれない。

【了】

(文●小早川涼風)

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