栄光への第一歩…早期デビューでGⅠ馬へ駆け上がった逸材(2)悪夢の挫折も…見事に立ち直った不屈の名馬
ダービーが終わった翌週の6月から、またクラシックに向けた戦いが幕を開ける競馬界。近年では新馬戦の開幕週から有力馬が輩出されており、翌年の活躍を見据える上でも非常に重要なレースとなることも珍しくない。今回は、6月のデビュー戦で勝利を飾り、後にG1を制した名馬を5頭取り上げる。今回は2頭目。
②ロゴタイプ
父:ローエングリン
母:ステレオタイプ
生年月日:2010年3月10日
性別:牡馬
毛色:黒鹿毛
調教師:田中剛(美浦)
2012年の6月24日、函館の芝1200m戦でデビューしたロゴタイプは、1着から5着までがコンマ1秒差という大激戦を制して初勝利。このレースで5着に下したバッドボーイが、年末のラジオNIKKEI杯2歳Sでエピファネイアとキズナを相手に僅差で2着となった実力の持ち主だったことからも、この時点で同馬の実力は高かった。
だが、続く函館2歳Sでは16頭立て14番人気という低評価に。なぜならロゴタイプが新馬戦を勝利した際の走破時計は、この年に開催された函館の芝1200mで最下位のタイム。2番目に遅い勝ち時計と比較しても1.2秒の差があった。このことから、さすがに重賞では通用しないと思っていたファンも多かったのかもしれない。だが、レースでは中団から徐々に上がっていくと、しぶとく良い脚を使い4着に。勝ったストークアンドレイとはわずかにコンマ1秒しか差がなく、重賞でも勝負になる姿を見せた。
この年、朝日杯フューチュリティステークスを制したロゴタイプは、世代の主役として翌年のクラシックに臨み、見事に皐月賞を制覇。その後はなかなか勝てない時期も続いたが、6歳時の安田記念では時の王者モーリスを下して復活のG1勝利を飾った。早い時期のデビューから7歳の6月まで走り抜き、スランプからも立ち直ったロゴタイプは、まさに不屈の名馬と呼ぶにふさわしい馬である。
【了】
(文●小早川涼風)
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