絶大な影響力!サンデーサイレンス奇跡の血量(3)底を見せずに引退…海外での活躍も期待された2歳女王
競走馬の血統には、偶然とは思えないほど劇的な能力の継承が存在する。「奇跡の血量」と呼ばれるインブリードもそのひとつだろう。今回は、サンデーサイレンスの奇跡の血量を持っており、さらにエピファネイアまたはリオンディーズを父に持つGⅠ馬から5頭ピックアップ。血統表を見ながら特徴をじっくりと紹介する。今回は3頭目。
奇跡の血量とは?
インブリード(近親交配)の際に使われる言葉で、3代前と4代前に同一の馬が存在することで発生するクロスのことを「奇跡の血量」と呼ぶ。日本ではトキノミノルの活躍がこの血統理論に着目されたきっかけといわれており、近年でもオルフェーヴルやレイデオロなど、奇跡の血量を持つ名馬は多い。
③サークルオブライフ
父:エピファネイア
母:シーブリーズライフ
生年月日:2019年3月24日
性別:牝馬
毛色:鹿毛
調教師:国枝栄(美浦)
彼女のデビュー戦はイクイノックス、ウィルソンテソーロといった、のちのG1級ホースが多く揃っていた伝説の新馬戦だった。ここを3着とした彼女は、次走の未勝利戦で勝利を挙げると、初の重賞挑戦となったアルテミスSも1着。勢いそのままに暮れの阪神JFも制し、最優秀2歳牝馬に輝いた。
彼女の持つクロスは今回取り上げた馬達のなかでもやや特殊で、サンデーサイレンスの奇跡の血量以外に所持しているのはHaloの5×4×5、Caerleonの4×5にHail to Reasonの5×5。他馬に比べてもインブリードが多めの血統構成といえるであろう。
なかでも特筆できるのは、速力型であるHail to Reasonと、パワー型のクロスであるHaloの2つを内包していること。特に後者のインブリードは道悪や海外遠征など、力のいる馬場で真価を発揮する。残念ながらサークルオブライフ自体はその舞台に出走する姿を見ないまま現役を引退してしまったが、子供たちにその適性が受け継がれるのを期待したい。
また、近親にはダートで2勝を挙げ、3歳オープン入りしたベルギューンなどもいるため、もしかしたら配合次第ではダートで活躍する馬の登場もあるかもしれない。曾祖母であるスターマイライフから続く千代田牧場の根幹牝系にいるサークルオブライフ。願わくは、彼女があと一歩届かなかった牝馬クラシックのタイトルを取る娘の誕生を見てみたいものである。
【了】
(文●小早川涼風)
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