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後の天皇賞馬も輩出…! 白山大賞典の最強勝ち馬列伝(5)驚愕の一人旅…圧倒的な強さで駆け抜けた王者

text by 中西友馬

1981年に金沢の重賞競走として創設され、1997年からはJRAとの交流重賞となった白山大賞典。交流重賞となったタイミングからは、金沢ダート2100mという舞台設定で、毎年秋に行われている。そんな白山大賞典の歴史の中から、5つのレースをピックアップして紹介する。

Grimm
第10回 レパードSを制したときのグリム

⑤2018年(勝ち馬グリム)

 エーシンモアオバーの連覇達成から4年が経った、2018年の白山大賞典。この年の上位人気も、例に漏れずJRA勢となっていた。

 1番人気は6歳馬のミツバ。2走前にマーキュリーC連覇を達成。距離不足に思われた前走のエルムSこそ3着と、人気を裏切る形となったが、後方から上がり最速の脚で追い込んできた内容は見どころ十分。2100mの距離で2勝を挙げているというスタミナ面の裏付けもあり、単勝1.8倍という支持を集めていた。

 対する相手筆頭は、3歳馬のグリム。こちらは前走のレパードSで重賞初制覇。古馬との初対戦に加え、地方のレースも未経験という不安要素はあったが、古馬勢をまとめて負かす可能性のある未知の魅力に期待され、単勝3.5倍の2番人気に推されていた。

 レースは、大外枠からでもグリムが好ダッシュを決めてハナを切る展開。2番手にマイネルバサラがつけ、ミツバは中団の外めにポジションを取り、他馬の動きにいつでも対応できる態勢を整えていた。しかし、2周目に入ったあたりで人気のミツバにアクシデントが発生。

 他馬が馬なりで追走する中、既に鞍上は追っつけっぱなし。向正面に入ると早くも後方に下がっていってしまう。そんな中、前はグリムとマイネルバサラが軽快に後続を離し始める。その中でも手ごたえ優勢なグリムが3馬身ほどのリードを保ったまま4角を回り、最後の直線へと向かう。

 直線ではグリムが後続を離しての一人旅。追走していたマイネルバサラは失速し、代わって内からカツゲキキトキトと外からセンチュリオンが伸びてくるが、これは2番手争い。最後は、持ったままで5馬身突き放したグリムが圧勝。2着には外を伸びたセンチュリオンが入り、1馬身半差の3着はカツゲキキトキトとなった。

 勝ったグリムは、レパードSに続いて重賞2勝目。交流重賞は初挑戦で初勝利となった。古馬との初対戦もものともせず、エーシンモアオバーの記録を1秒以上更新する、2分11秒4という当時のコースレコードで駆け抜けてみせた。

 グリムはその後、重賞タイトルを2つ上乗せして迎えた、翌年の白山大賞典も人気に応えて勝利。交流重賞となってからは史上3頭目となる、白山大賞典連覇を達成。その後の飛躍が期待されたが、屈腱炎による長期休養などもあり、その白山大賞典がJRAでの最後の勝利となった。

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