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“その日”は目前か…?ファン待望のGⅠ初制覇に挑む注目騎手(2)悪夢の転落…落馬で引退危機から逆襲なるか

text by 小早川涼風

春のG1シーズンが本格的に始まったが、今年は有力馬とコンビを組む騎手の中で、まだG1タイトルを手にしたことのない騎手も多い。そこで今回は、2025年4月時点で中央G1未勝利の騎手の中から、近い将来G1初制覇を果たしそうな注目の5人をピックアップして紹介する。今回は2人目の騎手。

ただ、「なぜあの騎手が入っていないのか」と感じる方もいらっしゃるかもしれない。しかし、多数の有力騎手から5人に絞り込むのは非常に困難だった。そのため、今回名前を挙げなかった騎手についても、決してG1制覇の可能性が低いと考えているわけではない。この点については、どうかご理解いただきたい。それでは、注目の5人を順番に紹介していく。

2025年小倉大賞典をロングランで制した丹内祐次騎手
2025年小倉大賞典をロングランで制した丹内祐次騎手

②丹内祐次

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デビュー:2004年(22年目)
重賞勝利数:11勝(中央9勝,地方2勝)
騎手リーディング:最高12位(2024年)
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 デビュー3年目に落馬し、長期離脱を余儀なくされた丹内騎手。復帰は1年後に叶ったが、その間に減量騎手の特典が終わったことや、レース騎乗の間隔が空いてしまったことで、思うように騎乗馬が集まらない日々が続いた。順調に伸びていた勝利数もひと桁まで落ち込み、一時は引退まで考えるほどであったという。

 しかし、丹内騎手はそこで腐ることなく努力を続けた。「とにかく一所懸命にやろう」と決めて競馬へ取り組む姿勢を見て、騎乗依頼を積極的に出すようになったのが“マイネル軍団”の総帥である故・岡田繫幸氏である。期待に応えて勝利数は回復し、2015年には重賞を初制覇。その後も地道に経験と勝利数を積み重ねた丹内騎手は、2025年4月現在、全国リーディングで暫定2位になるまでの成長を遂げた。

 JRAのG1には15回騎乗して未勝利だが、2023年の高松宮記念で13番人気のトゥラヴェスーラで3着に入線したように、人気以上の着順へ相棒を導くことが多い騎手である。加えて、2025年に入ってからは4か月ですでに重賞3勝を挙げており、さらなる飛躍を感じさせる。

 そんな丹内騎手が現在抱えるお手馬にはマイネルエンペラー、フェアエールングを筆頭とする“マイネル軍団”の有力馬が顔を揃えている。もし彼らでG1初勝利を挙げることがあれば、低迷していた自分を見出してくれた故・岡田氏へ、これ以上ない恩返しとなるのではないだろうか。

【了】

(文●小早川涼風

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