「地方馬だって負けてない…! 」テレ玉杯オーバルスプリント名勝負(5)圧巻のレース! 入り乱れる激戦を制したのは?
1991年にテレビ埼玉杯として始まり、2008年に現名称へ変更。現在は「テレ玉杯オーバルスプリント」というレース名となり、浦和競馬場のダート1400mで9月に行われている。そんなオーバルスプリントの歴史の中から、5つのレースをピックアップして紹介する。
⑤2021年(勝ち馬テイエムサウスダン)
この年人気を集めたのは、交流重賞連勝中のラプタス。特に前走のサマーチャンピオンは7馬身差の圧勝で、勢いそのままに重賞3連勝を目指しての出走であった。
2番人気も同じくJRA勢のテイエムサウスダン。こちらも2走前の黒船賞で8馬身差の圧勝。しかし前走のかきつばた記念でラプタスに3馬身差で敗れていたため、今回は2番人気となっていた。
3番人気は地方馬のアランバローズ。同年の東京ダービー馬で、2歳時には中央交流の全日本2歳優駿も勝利。一気の距離短縮でJRA勢に挑んでいた。この3頭が単勝10倍を切るオッズに推され、発走を迎えた。
レースは、久々の千四でも先手を取ることができたアランバローズがハナを切り、テイエムサウスダンが2番手を追走。ラプタスは最内枠からわずかにダッシュがつかなかったことが災いし1角のゴチャつきに巻き込まれる不利。ポジションを下げ、中団の後ろから進めることとなる。レースが動いたのは、3角手前。2番手のテイエムサウスダンが早めに前を捕まえにいき、アランバローズを交わして先頭へと立つ。交わされたアランバローズも内で必死に抵抗を見せ、2頭ほぼ並んだまま4角を回り、最後の直線へと向かう。
直線に入ると、追い出されたテイエムサウスダンがアランバローズを一気に突き放して先頭。アランバローズは苦しくなり、その後ろにつけていたティーズダンクが残り150mあたりで2番手に浮上。しかし、前は先に抜け出したテイエムサウスダンがセーフティリードを築いて勝利。2馬身差の2着がティーズダンクとなり、そこから5馬身離れた3着には、辛くも後続の追い上げを凌ぎきったアランバローズが粘り込んだ。
勝ったテイエムサウスダンは、交流重賞3勝目。その後は交流重賞のみならず、根岸Sの勝利やフェブラリーSでの2着など、ダート界のトップクラスと互角に渡り合った。7歳シーズンとなった2024年からは、活躍の舞台を佐賀に移した。
(文●中西友馬)
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