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桜花賞で列島が熱狂…「大外一気」を決めた名牝たち(5)絶望的な差を大逆転!爆発的な切れ味を見せた三冠牝馬

text by 中西友馬

牝馬クラシック第1冠となる桜花賞。これまでこのレースを制した勝ち馬の数々が、ここを足掛かりに名牝への道を歩み出している。今回はそんな桜花賞の歴史の中から、鮮やかな追い込みで勝利を挙げた馬に注目。特に印象に残った5頭を、ピックアップして紹介する。

LibertyIsland
リバティアイランド

⑤2023年(勝ち馬リバティアイランド)

 アーモンドアイの勝利から5年が経った、2023年の桜花賞。この年の主役は、前年の阪神JFを勝利して2歳女王に輝いていた、リバティアイランド。しかしこの馬は、阪神JFでG1勝利を挙げる前から、2歳夏の新馬戦でJRA史上最速タイとなる上がり3F31秒4をマーク。驚異的な切れ味を見せ、たった1戦で将来の活躍を期待されていた。

 この頃には、トライアルを使わないローテもだいぶ一般化してきており、阪神JFからのぶっつけ本番も不安視はされず。単勝1.6倍という抜けた1番人気の支持を受けて、発走を迎えた。

 レースは、モズメイメイがハナを切り、コナコーストが2番手を追走。注目のリバティアイランドは、ゆっくりとしたスタートから後ろへと下げ、比較的縦長な馬群の後方3番手から進めていた。そして隊列に大きな動きはないまま4角を回り、最後の直線へと向かう。

 直線に入っても、リバティアイランドから先頭までは10馬身以上の差。馬群の大外に持ち出して、ようやくエンジンがかかったのは残り300mあたり。そこから徐々に前との差を詰めていくが、それでも残り1Fで先頭との差は5馬身以上。絶体絶命にも思われたが、やはり31秒4をマークした究極の切れ味はダテではなく、結果的には、先に抜け出していた馬たちに接戦にも持ち込ませない差し切り勝ち。

 上がり3Fは、メンバー中唯一の32秒台をマークし、もちろん最速の32秒9。レース上がりを1秒6上回る末脚を発揮し、史上7頭目となる牝馬3冠への道を歩み始めた。

【了】

(文●中西友馬

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