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オルフェーヴル産駒の最高傑作は? スケールデカすぎ“暴君”の子どもたち(4)ダートで覚醒…栗毛の怪物

text by 中西友馬

現役時代は史上7頭目となるクラシック3冠を達成し、凱旋門賞でも2年連続2着の実績を残したオルフェーヴル。その一方で、レース後に池添騎手を振り落としたり、阪神大賞典で逸走するなど、「金色の暴君」の異名がぴったりの馬でもあった。今回はそんなオルフェーヴル産駒の中から、特に活躍を見せた5頭をピックアップして紹介する。

Ushba Tesoro_GettyImages
ドバイWCを制したときのウシュバテソーロ

④ウシュバテソーロ

 BCディスタフを制したマルシュロレーヌの次の世代となる、オルフェーヴル第3世代。この世代にも世界の舞台で活躍する馬を輩出した。それがウシュバテソーロである。

 この馬もマルシュロレーヌ同様、芝でデビューを迎えた。しかし常に掲示板をキープしながらも、デビューから6戦連続で勝利を挙げることができなかった。初勝利はデビューから8ヶ月が経った3歳の4月。徐々に距離を延ばして芝2400mでの初勝利であった。

 そこから1年後に2勝目、さらにその半年後に3勝目と、時間はかかりながらも徐々に力をつけて、4歳11月に3勝クラスへと上がってきた。しかし、そこからまた半年足踏みが続いたウシュバテソーロは、5歳4月の横浜Sで初のダート戦に挑戦する。すると、のちのフェブラリーS覇者ペプチドナイルを4馬身突き離す圧勝。

 ここからは、芝のレースでは決め手不足で勝ち切れなかったのが嘘のように、トントン拍子に出世。なんとその年の年末には、東京大賞典を制してG1初制覇を飾る。さらに翌年には川崎記念の勝利をステップにして、ドバイWCに挑戦。道中最後方追走から、全馬をごぼう抜きして快勝。ダートで行われたドバイWCでは、日本馬初制覇を飾った。

 ウシュバテソーロはその後も世界の舞台で活躍を続け、7歳を迎えた昨年もサウジCとドバイWCで2着。そして8歳となった今年も、サウジCでフォーエバーヤングとロマンチックウォリアーに次ぐ3着という結果を残している。

 8歳シーズンを迎えて、衰えがまったくないと言えば嘘になるが、それでもこれだけの結果を残しているのはさすがのひと言。いまだ現役ながら、歴代獲得賞金ランキングでも25億円超でイクイノックスを抜いてトップへと立った。現役引退までにどこまで伸ばせるか楽しみである。

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