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このコンビにもらい泣き…皐月賞でGⅠ初勝利を飾った名騎手(1)テイエムオペラオーと最高の相性だった男は?

text by 小早川涼風

クラシック三冠の幕開けを告げる皐月賞。前年にはホープフルSや朝日杯FSといったG1も行われるが、多くの競走馬にとって、初めてのG1タイトルを手にする舞台となる。また、多くの名騎手が、ここで初G1タイトルを掴んできた。今回は、皐月賞がキャリア初のG1制覇となったコンビを5組ピックアップして紹介する。1組目は1999年の皐月賞。

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第59回皐月賞を制した和田竜二騎手

①テイエムオペラオー×和田竜二

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1999年 第59回皐月賞
優勝馬:テイエムオペラオー(5番人気)
騎手:和田竜二(21歳)
調教師:岩元市三【栗東】
馬主:竹園正繼
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「良い馬に乗ってこそ騎手は成長する」
これは、テイエムオペラオーを管理した岩元市三師の理念であった。その教えのもと、岩元厩舎所属でデビューした和田竜二騎手が、4年目にしてテイエムオペラオーと出会ったのも、師のこのような考えがあってのことだろう。

 デビュー3戦目で未勝利戦を勝ち上がったテイエムオペラオーは、そこから条件戦、毎日杯と3連勝。通常であれば、文句なしにクラシックの有力候補として駒を進めていく馬となる。しかし彼はクラシック登録がなく、プレップレースを勝ちながらも、皐月賞に出走するには200万円という高額な追加登録料が必要だった。

「これほどの馬を皐月賞に出さないのはもったいない」
 そう感じた岩元師はオペラオーの出走をオーナーに直談判。情熱が通じ、ついに皐月賞への出走が決まった。

 迎えた皐月賞では、後方から進めたテイエムオペラオーと和田騎手。勝負所でやや内がごちゃつく中、大外から次元の違う末脚を見せ、前を行く馬をまとめて差し切って1着でフィニッシュ。馬だけでなく、騎手・調教師・牧場、そして馬主、すべてにとっての初G1制覇となった。

 この皐月賞では、2,3着はうまく内を立ち回った馬が占めており、外から伸びてきたのはテイエムオペラオーただ1頭。翌年、当時の古馬王道を完全制覇する実力の片鱗は、すでにこの皐月賞で見せていた。

 そしてテイエムオペラオーとの経験が、和田騎手のその後の飛躍に繋がっていった。日本有数のトップジョッキーとして名を馳せるようになっていった彼は、20年以上の時が流れた今でも第一線で活躍し続けている。

【了】

(文●小早川涼風

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