皐月賞でGⅠ初勝利を飾った名ジョッキー(3)追える若手」から「勝てる騎手」に…運命を変えた名馬との出会い
クラシック三冠の幕開けを告げる皐月賞。前年にはホープフルSや朝日杯FSといったG1も行われるが、多くの競走馬にとって、初めてのG1タイトルを手にする舞台となる。また、多くの名騎手が、ここで初G1タイトルを掴んできた。今回は、皐月賞がキャリア初のG1制覇となったコンビを5組ピックアップして紹介する。3組目は2008年の皐月賞。

③キャプテントゥーレ×川田将雅
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2008年 第68回皐月賞
優勝馬:キャプテントゥーレ(7番人気)
騎手:川田将雅(22歳)
調教師:森秀行【栗東】
馬主:社台レースホース
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「名馬との出会いには“運”の要素もある」
川田騎手がキャプテントゥーレに初めて跨ったのはデイリー杯2歳S。騎乗停止中だった武豊騎手の代役として依頼されたのがきっかけだった。だが、ここを先行して勝ち切ったことで、以降、正式に彼の背中を任されることになる。それまで川田騎手はメジロマイヤーなどで重賞勝利の実績はあったものの、クラシックでは菊花賞の11着が最高。全G1でも2着止まりで「ブレイク前夜の若手ジョッキー」という位置付けだった。
そんな川田騎手とキャプテントゥーレだが、皐月賞では7番人気。トライアルでの負けが影響したのに加え、デビュー5年目の若手が乗るということで軽視されていたのかもしれない。だが、川田騎手は「前を捕まえにいくのは難しい。ならば、迷わず逃げて自分の競馬をしよう」と腹を決めて騎乗した。
レースではその思惑通りハナをきり、道中はほぼ均一で12秒台のラップを刻んだキャプテントゥーレ。スローペースから勝負所で一気にギアを上げて後ろを突き放すと、後は逃げ切るだけ。2着に2と2/1馬身差をつけて、クラシック一冠目のゴールへ飛び込んだ。
確かに川田騎手がキャプテントゥーレと出会ったのは“運”かもしれない。しかし、数少ない機会をしっかりモノにし、G1制覇まで導くというのは紛れもない“実力”だろう。
そしてこの勝利をきっかけに「追える若手」から「勝てる騎手」へ、ゆっくりとその評価は変わっていく。キャプテントゥーレは川田騎手にとって、まさにターニングポイントとなった馬ではないだろうか。
【了】
(文●小早川涼風)
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