桜花賞で列島が熱狂…「大外一気」を決めた名牝たち(4)圧倒的すぎる!2強対決すら完勝…歴史に残る最強牝馬
牝馬クラシック第1冠となる桜花賞。これまでこのレースを制した勝ち馬の数々が、ここを足掛かりに名牝への道を歩み出している。今回はそんな桜花賞の歴史の中から、鮮やかな追い込みで勝利を挙げた馬に注目。特に印象に残った5頭を、ピックアップして紹介する。

④2018年(勝ち馬アーモンドアイ)
ジュエラーとシンハライトの大接戦からさらに2年が経った、2018年の桜花賞。この年の戦前の主役は、3冠馬オルフェーヴルの初年度産駒ラッキーライラック。デビューから3戦3勝で阪神JFを制した2歳女王は、3歳初戦のチューリップ賞も2馬身差の快勝。無傷の4連勝で桜花賞に駒を進めていた。
例年であれば、それこそブエナビスタやハープスターのように単勝1.2倍級の支持を集めてもいいような戦績であったが、この年はまだ未対戦の大物候補がもう1頭出走。それがアーモンドアイであった。内回り1400mの新馬戦こそ差し損ねて2着に敗れるも、2戦目の未勝利戦を3馬身半差の完勝。さらには、牝馬で結果を残すと出世すると言われているシンザン記念も連勝。2.3着が先行勢2頭のレースを、1頭だけ次元の違う脚で差し切ってみせた。そしてトライアルは使わず、シンザン記念から桜花賞に直行。
王道ローテを歩んできた2歳女王ラッキーライラックvs異例のローテを歩む異端児アーモンドアイ、のような構図で発走を迎えた。レースは、最内枠からラッキーライラックが好スタートを切るも、押してコーディエライトがハナを切る。それに大外枠からツヅミモンが続き、ラッキーライラックはその後ろとなる好位のインを確保。スタートの出もあまり良くなかったアーモンドアイは、後方2番手からの競馬となった。その隊列でレースは進んでいき、馬群は凝縮して一団のまま4角を回り、最後の直線へと向かう。
直線に入ると、ずっとインコースで脚を溜めていたラッキーライラックが、先行する2頭の外へと持ち出して追撃態勢を整える。残り200mで満を持してラッキーライラックが先頭へと抜け出したその刹那、すぐ後ろには、4角で後方2番手にいたはずのアーモンドアイが大外から迫ってきていた。完璧な立ち回りを見せたはずの2歳女王を、大外から一瞬にして抜き去るアーモンドアイ。ゴールではラッキーライラックに決定的な差をつけ、新女王アーモンドアイが誕生していた。
上がり3Fはメンバー唯一の33秒台となる33秒2、レース上がりを1秒2上回るものであった。大外を一気に突き抜けた新女王は桜花賞だけでなく、残り2冠も危なげなく勝利。史上5頭目の牝馬3冠に輝いた。