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キングカメハメハ産駒の最高傑作は? (3) 日本競馬史上最強のスプリンター! 世界の“龍王”

text by 中西友馬

現役時代、NHKマイルCとダービーのいわゆる「変則2冠」を達成したキングカメハメハ。種牡馬としても非常に重宝され、2010年には年間種付け頭数266頭という日本記録も達成した。今回は、そんなキングカメハメハ産駒の中から、特に活躍を見せた5頭をピックアップして紹介する。三頭目はロードカナロア。

LordKanaloa
ロードカナロア(Getty Images)

ロードカナロア

 豊作だったキングカメハメハ2世代目であったが、その次の年にデビューした3世代目では、世界を制したスプリンターを輩出。それがロードカナロアである。

 短距離戦で5勝を挙げたレディブラッサムを母に持つロードカナロアは、2010年12月に小倉でデビュー。後続に6馬身差をつける圧勝で新馬勝ちを収める。その後2戦は距離延長で勝ち切れない競馬が続くも、スプリント戦に戻すと破竹の5連勝。2つの重賞タイトルも獲得して、初のG1となる高松宮記念に挑戦する。

 ここに立ち塞がったのが、前年のスプリンターズSを制していた厩舎の先輩、カレンチャン。ロードカナロアはサンカルロにも交わされて、キャリア初の3着に敗れた。その後、4歳秋から岩田康誠騎手との新コンビを結成。コンビ2戦目となるスプリンターズSで、再びカレンチャンとの直接対決を迎えると、このレースをコースレコードで制し、G1初制覇を飾った。

 G1ウィナーとなったロードカナロアは、ライバルのカレンチャンとともに、香港スプリントに挑戦。初の海外遠征であったが、好位から抜け出して快勝。スプリント王国の香港馬をアウェーの地で撃破し、日本馬初の香港スプリント制覇を成し遂げた。

 年が明けて5歳を迎えたロードカナロアは、高松宮記念をコースレコードで快勝。スプリント界を制圧した先の目標は、2年5ヶ月ぶりのマイル戦出走となる安田記念であった。ショウナンマイティにクビ差まで迫られた上、直線で苦しくなって外に斜行してしまうほどタフなレースではあったが、なんとか勝ち切り、スプリントとマイルの2階級制覇を果たす。

 秋は、前年と同じローテでスプリンターズSを連覇。引退レースとなった香港スプリントでは、スプリントG1では滅多にお目にかかれない5馬身差の圧勝でこちらも連覇達成。まさに「世界のロードカナロア」の名にふさわしいレースを見せ、惜しまれながらも現役生活を引退した。

 翌年から種牡馬となったロードカナロアは、初年度から牝馬3冠を達成するアーモンドアイを輩出するなど大活躍。自身はスプリント戦を中心に活躍したが、父キングカメハメハ譲りのスタミナも産駒に受け継がれ、クラシックディスタンスでの活躍馬も多数輩出した。

 もちろんスプリンターの資質を受け継いだ産駒も数多く、ダノンスマッシュは2020年の香港スプリントを勝利。日本馬としてロードカナロア以来となる戴冠を果たし、父仔制覇を達成した。

【了】

(文●中西友馬

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