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キングカメハメハ産駒の最高傑作は? (2) 出遅れ癖さえなければ……種牡馬としても活躍する個性派

text by 中西友馬

現役時代、NHKマイルCとダービーのいわゆる「変則2冠」を達成したキングカメハメハ。種牡馬としても非常に重宝され、2010年には年間種付け頭数266頭という日本記録も達成した。今回は、そんなキングカメハメハ産駒の中から、特に活躍を見せた5頭をピックアップして紹介する。二頭目はルーラーシップ。

Rulership
ルーラーシップ

ルーラーシップ

 アパパネと同世代の牡馬にも、活躍を見せたキングカメハメハ産駒がいた。それがルーラーシップである。母は天皇賞(秋)などを制した女傑エアグルーヴという、超良血馬のルーラーシップは、2009年12月に阪神でデビュー。断然の1番人気に応えて新馬勝ちを収める。

 明け3歳初戦の若駒Sでは2着に敗れるも、続くアルメリア賞で2勝目。しかし重賞初挑戦となった毎日杯では、出遅れに加えて隣を走っていたザタイキが落馬した影響もあり、ダノンシャンティの5着に敗戦。皐月賞への出走は断念せざるを得なくなり、これからこの出遅れ癖とは常に付き合っていくこととなる。

 目標をダービーに切り替えたのち、ダービーTRのプリンシパルSを勝利して、目標のダービーへと出走。父仔制覇の期待がかかったが、エイシンフラッシュの5着に敗れた。その後、休養を挟んで迎えた鳴尾記念では、古馬との初対戦ながら勝利して重賞初制覇を飾ると、翌4歳シーズンではG2を2勝。しかしG1ではあと一歩のレースが続いていた。

 そして迎えた5歳シーズン。年明け初戦のAJCCで、重賞4勝目を飾る好スタートを切る。日経賞ではネコパンチの大駆けに屈して3着に敗れるも、続く香港のクイーンエリザベスCでは、好位追走から内ラチ沿いを突き抜けて圧勝。世界の強豪を寄せつけずに香港の地でG1初制覇を飾り、父キングカメハメハにとっても海外G1初制覇となった。

 凱旋帰国したルーラーシップは、その後国内のG1でも好走を見せるも、宝塚記念2着、天皇賞(秋)、ジャパンC、有馬記念では3着と、あと一歩のところで国内G1制覇はならなかった。その敗因は明確で、3歳時から見せていた出遅れ癖の頻度が増え、ほぼ毎レースで後方からの競馬を余儀なくされていたことが大きな要因であった。特に引退レースとなった有馬記念では、ゲート内で立ち上がった瞬間にスタートが切られ、10馬身ほどの大出遅れ。それでも3着まで追い上げてきてるのだから、ポテンシャルの高さはかなりのものであった。

 現役引退後は種牡馬入りを果たし、初年度産駒からキセキが菊花賞を制覇。記憶に新しいところだと、昨年ソウルラッシュがマイルCSを勝利した。その他にも、産駒は毎年のように重賞タイトルを獲得しており、種牡馬としても成功を収めている。

【了】

(文●中西友馬

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