地方「生え抜き」馬獲得賞金ランキング 【5位】足元の不安を抱えながらも抜群の安定感を誇った名馬
地方競馬から中央に移籍し、活躍したオグリキャップやイナリワンのような名馬は多い。しかし、地方でデビューし、一貫して地方競馬で走り続けた「生え抜き」の名馬たちも数々の輝かしい実績を残している。本記事では、獲得賞金ランキング上位10頭を厳選し、それぞれの軌跡を紹介する。今回は第5位。
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5位 サプライズパワー(5億1,276万円)
性別:牡馬
所属:鈴木英二(北海道)→ 川島正行(船橋)→ 戸田博文(美浦)※美浦転厩後一戦もせずに引退
戦績:47戦18勝 [18-11-3-15]
主な勝ち鞍:日本テレビ盃(JpnIII)、かしわ記念(JpnIII)
通算47戦18勝、交流重賞の勝ち鞍はG3級時代のかしわ記念・日本テレビ盃のみ。これまで紹介してきた名馬たちと比べると、実績面で見劣りすると感じる人もいるかもしれない。しかし、地方馬限定の競走では31戦中27回も掲示板を確保し、抜群の安定感を誇ったのがサプライズパワーである。
サプライズパワーのデビューは北海道・旭川。3歳時に船橋へ移籍すると、南関東三冠の第1戦である羽田盃こそ2着に敗れたものの、東京王冠賞と東京ダービーを制覇し二冠を達成。続くアフター5スター賞も制覇し、早くも1億円ホースの仲間入りを果たした。
しかし、中央遠征で挑んだユニコーンSでは12着と大敗。その後、膝の骨折が判明し、長期休養を余儀なくされる。さらに元々悪かった爪による裂蹄にも悩まされ、復帰後も万全には程遠い状態が続いた。それでも重賞11勝(うち交流重賞2勝)を挙げたことからも、その実力の高さがうかがえる。
2002年の帝王賞6着を最後に美浦・戸田博文厩舎へ移籍。しかし故障により1戦も走ることなく引退となった。
常に脚元の不安を抱えながらも、サプライズパワーが獲得した賞金は5億1276万円に及んだ。馬の健康を最優先に考えたスタッフの献身があったからこそ、到達できた偉大な記録である。
【了】
(文●小早川涼風)
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