福永厩舎で注目の「明け3歳馬」(3) 素質は3歳牝馬の中でもトップクラスか?
間もなく開業から1年が経つ、福永祐一調教師。昨年は17勝を挙げ、CBC賞のドロップオブライトとデイリー杯2歳Sのランフォーヴァウで重賞も2勝。今年はG1初制覇への期待がかかる1年となる。本格的なクラシック参戦初年度となる福永厩舎には、明け3歳となった素質馬がズラリ。今回はその中から、5頭をピックアップして紹介する。三頭目はマイエレメント。
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マイエレメント
父:エピファネイア
母:ソートアフター
母父:ディープインパクト
性別:牝馬
生年月日:2022年5月12日
馬主: (有)キャロットファーム
戦績2戦1勝 [1-0-0-1]
主な戦績:2歳新馬
ここまでは牡馬の2頭を取り上げてきたので、牝馬の期待馬に関しても触れていきたい。現時点の実績から言うと、デイリー杯2歳Sを制したランフォーヴァウが一歩リードも、素質面で勝るとも劣らないのがマイエレメント。この馬も、2023年のセレクトセールで3630万円でキャロットファームが落札。父は、現役時代に福永騎手を背に菊花賞を制したエピファネイア、母はディープインパクト産駒のソートアフターという血統である。
デビュー戦は、8月の新潟芝1600m(牝)。追い切りで好時計を連発していたマイエレメントは、横山武史騎手を背に単勝1.7倍の1番人気で出走。好位の外めを確保すると、危なげなく抜け出して2馬身半差の快勝を収めた。この勝利は、福永厩舎の2024年2歳戦初勝利となり、それと同時に、デビュー時から福永厩舎に在籍している馬での初勝利ともなった。レースとしては、ゲート内の駐立や道中の口向き、抜け出してからムチに反応してフラフラする面など、さまざまな点でまだ課題の残る内容。ただ、そんな若さを見せながらの勝利に、底知れぬ伸びしろを感じた。
2戦目となったアルテミスSは、初戦で浮き彫りとなった課題のスタートで出遅れ。後方2番手から大外を回って前に迫ったが、5着に敗れた。それでも上がり最速の32秒8の脚を使い、残り200mあたりでは、まとめて飲み込むんではないかと思う脚いろで2着馬とタイム差なしまで追い込んできた。
残念ながら、年明けに予定していたシンザン記念では除外の憂き目を見たが、立て直して次走はチューリップ賞を予定とのこと。5月生まれと遅生まれの馬で、アルテミスSで12キロ増えていた馬体は、さらに成長して出走してくることが予想される。3歳牝馬トップクラスの素質が開花するのは、時間の問題だ。
【了】
(文●中西友馬)
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