【阪神JF 考察】34年ぶりの京都開催という観点から激走馬を考察する
今週は今季の2歳女王決定戦・阪神ジュベナイルフィリーズが開催される。今年の阪神JFは34年ぶりに京都競馬場で行われ、さらにBCジュベナイルフィリーズターフ2着のメイデイレディとともに世界的名手・L・デットーリ騎手が参戦するなど、例年とは趣の違うレースとなりそう。そこで今回は、実際に京都で行われたレースと阪神で行われたレースを比較して、激走馬を導き出す。
阪神といえば上り坂、京都といえばほぼ平坦
先週のチャンピオンズCは、単勝1番人気のレモンポップが、ウィルソンテソーロの猛追をハナ差退け勝利。今年もレース前には様々な不安要素が囁かれていたが、それらを全て跳ね除け、見事に有終の美を飾った。
このコーナーで作成したランキング的には、回避のメイショウハリオを除けば1位と3位での決着。悪くない結果かと思いきや、実際の人気は1番人気と2番人気で馬連840円というガチガチの決着。せめてランキング的にもワンツーにはなってないと、威張れる結果とは言えないだろう。今週こそは、胸を張って読者の方々に貢献できたと言える結果を残したい。
ということで、今週は2歳G1の第1弾となる阪神ジュベナイルフィリーズが行われる。今年はBCジュベナイルフィリーズターフ2着のメイデイレディが参戦。海外所属の2歳馬がJRAのレースを走るのはこれが史上初ということで、例年以上の盛り上がりを見せている。
そして今回、予想をする上で見逃せないのが、34年ぶりの京都開催であるという点。これこそが実は大きなポイントではないかと考えている。そこで今回はその辺りに焦点を当てて、阪神JFの考察を行ってみた。
では京都と阪神ではどの辺りが違うのか、実際に京都で行われたレースと阪神で行われたレースを比較してみる。
■京都競馬場のリニューアル後に行われた2歳戦かつ1勝クラス以上のレース結果
①2023年紫菊賞(勝ち馬ジュンゴールド)
レース上がり34.0 ラスト2F11.0-11.4
②2023年萩S(勝ち馬ルシフェル)
レース上がり34.3 ラスト2F11.0-11.5
③2023年ファンタジーS(勝ち馬カルチャーデイ)
レース上がり35.2 ラスト2F11.6-12.1
④2023年秋明菊賞(勝ち馬ダノンマッキンリー)
レース上がり34.7 ラスト2F11.6-11.9
⑤2024年りんどう賞(勝ち馬ヴーレヴー)
レース上がり34.3 ラスト2F11.5-11.5
⑥2024年紫菊賞(勝ち馬ビップデイジー)
レース上がり33.6 ラスト2F11.2-11.0
⑦2024年もみじS(勝ち馬リリーフィールド)
レース上がり35.4 ラスト2F11.7-12.2
⑧2024年萩S(勝ち馬テリオスララ)
レース上がり33.7 ラスト2F11.1-11.2
⑨2024年デイリー杯2歳S(勝ち馬ランフォーヴァウ)
レース上がり34.1 ラスト2F11.2-11.4
⑩2024年秋明菊賞(勝ち馬キャッスルレイク)
レース上がり34.3 ラスト2F11.4-11.5
■過去10年の阪神競馬場で行われた阪神ジュベナイルフィリーズの結果
⑴2014年(勝ち馬ショウナンアデラ)
レース上がり35.2 ラスト2F11.5-12.3
⑵2015年(勝ち馬メジャーエンブレム)
レース上がり35.8 ラスト2F11.5-12.6
⑶2016年(勝ち馬ソウルスターリング)
レース上がり35.2 ラスト2F11.5-12.2
⑷2017年(勝ち馬ラッキーライラック)
レース上がり34.4 ラスト2F11.0-11.5
⑸2018年(勝ち馬ダノンファンタジー)
レース上がり35.0 ラスト2F11.8-12.2
⑹2019年(勝ち馬レシステンシア)
レース上がり35.2 ラスト2F11.5-12.5
⑺2020年(勝ち馬ソダシ)
レース上がり34.4 ラスト2F11.4-11.8
⑻2021年(勝ち馬サークルオブライフ)
レース上がり34.8 ラスト2F10.9-11.8
⑼2022年(勝ち馬リバティアイランド)
レース上がり36.1 ラスト2F12.5-12.5
⑽2023年(勝ち馬アスコリピチェーノ)
レース上がり34.4 ラスト2F11.4-11.7
①〜⑩は、京都競馬場のリニューアル後に行われた2歳戦かつ1勝クラス以上のレースの中から、今回と同じ芝の外回りコースを使用しており、なおかつ良馬場で行われたレースのレース上がりとラスト2Fをピックアップしたものである。
⑴〜⑽は、過去10年の阪神競馬場で行われた阪神JFの結果から、レース上がりとラスト2Fをピックアップしたものである。ちなみに、過去10年の阪神ジュベナイルフィリーズは全て良馬場で行われている。
これらを見比べたときに、まずレース上がりに関しては、京都のほうが全体的に速い印象を受ける。この10レースの平均を出すと、京都が34秒36、阪神が35秒05となり、約0秒7の差が出ている。
次にラスト2Fに着目すると、京都のほうが全体的に失速幅が小さい印象を受ける。この10レースの失速幅の平均を出すと、京都が0秒24、阪神が0秒61となり、約0秒4の差が出ている。
ここから分かることとしては、京都競馬場は阪神競馬場に比べて上がりが速く、ラスト2Fも失速しにくい競馬場であるということである。
これは、阪神競馬場のゴール前に高低差約2mの急坂があるのに対して、京都競馬場のゴール前はほとんど高低差のない平坦なコースであることに起因している。特にラスト2Fの失速幅などは、まさにこの坂の有無が影響していると考えられる。
このことを踏まえると、今年の阪神JFは例年よりも上がりが速く、ラストの失速もあまりないレースになると考えられる。これと同じようなレース展開で結果を出している馬を狙いたい。
レース上がりが京都の平均値である34秒3以下で、ラスト2Fの失速幅も京都の平均値である0秒2以内。こういうレースで勝利経験のある馬を探してみた。今回の出走馬の中からこの条件に当てはまる馬を探したところ、テリオスララ、ビップデイジー、ブラウンラチェット、ミーントゥビー、ランフォーヴァウの5頭が該当。この5頭をボックスで買うも良し、この中から軸(本命)を選んでも良し。
個人的には、先ほどの10レースの中で唯一となる、ラスト2Fでの加速ラップを紫菊賞で刻んだビップデイジーと、前半超スローだったとはいえ、前走の1勝クラスでラスト2F10.7-10.9の切れ味を見せたミーントゥビーに、底知れぬ魅力を感じている。
【了】
(文●中西友馬)
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