
重賞レースのデータ分析では過去10年が一般的だが、競馬のサイクルは短く、10年前の結果は現在と大きく異なることも多い。近年はローテーションも変化し、GⅠ戦線のトレンドが進化している。今回は2025年の総決算・有馬記念の傾向を、GⅠトレンドハンターである勝木淳氏が考察する。[2/2ページ]
有馬記念の予想で押さえておきたい3つのポイント
①年齢
直近5年は3歳3勝、4歳2勝と若い馬が強い。ただし3歳は前走GⅠ1着馬が2勝で、例外は昨年のレガレイラ(エリザベス女王杯5着)だけ。どちらも天皇賞(秋)を勝っていた。ミュージアムマイルは中山巧者ではあるが、2500mのスタミナ勝負となると疑問もある。4歳2勝は前走GⅠ3、4着馬。これ以下は厳しいが、惜敗から巻き返すシナリオが目立つ。
②前走天皇賞(秋)
前走天皇賞(秋)は3勝。ジャパンCは1勝止まりで凡走も目立つ。中3週の続戦による疲労は考慮したい。天皇賞(秋)ならローテーションに余裕があり、状態の維持もしやすい。3着以内の好走が目立ち、距離不安でもミュージアムマイルは軽視できないか。
スタミナ寄りの競馬になるなら、ジャスティンパレスも候補に残そう。6歳で秋3戦目。決して楽なローテ―ションではないが、昨年も掲示板には載った。今年は適性面のあと押しも期待できる。
ジャパンCは苦戦傾向だが、3着ダノンデサイルはそのジャパンCが休み明けの一戦であり、消耗より上昇の公算が大。前走ジャパンCの好走馬はこの5年で3頭いるが、このうち2頭(タイトルホルダー、スターズオンアース)は、秋にジャパンC以外のGⅠに出走していない。ダノンデサイルはジャパンC組のなかでも好走パターンに一致する。
③馬体重
これは当日ギリギリまで悩む方の背中を押すデータとして活用してほしい。有馬記念は馬体減[1-2-2-17]、増減なし[0-0-2-7]、馬体増[4-1-0-33]で馬体増の優勝が目立つ。シーズン末期の一戦は体重が減るより、むしろ増えて充実した状態で迎えたい。
陣営が渾身の仕上げで送り出す大一番。馬体増は仕上げ途上ではなく、計算づくととるべきだ。増減なしとあわせ、微増ぐらいで出走するのが理想だろう。
好走候補:ダノンデサイル、ジャスティンパレス、ミュージアムマイル
穴馬候補は展開的に活気ある流れになる可能性が高く、スタミナ型の穴馬が複穴を提供するシナリオが有力。レイデオロ産駒のアドマイヤテラ、日経賞Vマイネルエンペラーも馬券に入れたい。
【了】
【著者プロフィール:勝木淳】
競馬を主戦場とする文筆家。競馬系出版社勤務を経てフリーに。優駿エッセイ賞2016にて『築地と競馬と』でグランプリ受賞。主に競馬のWEBフリーペーパー&ブログ『ウマフリ』や競馬雑誌『優駿』(中央競馬ピーアール・センター)にて記事を執筆。Yahoo!ニュースエキスパートを務める。『アイドルホース列伝 超 1949-2024』(星海社新書)に寄稿。
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