【東大流・GⅠ二者択一|ジャパンカップ】マスカレードボールvsクロワデュノール 買うべき馬はどっち?
東京大学卒の競馬ライター・鈴木ユウヤが人気馬2頭のうち、真に「買うべき馬」はどちらかを見極める「東大流・GⅠ二者択一」。
今回はジャパンC(GⅠ・東京芝2400m)が対象。天皇賞(秋)から連勝を狙うマスカレードボールと今年の日本ダービー馬クロワデュノールの対決に焦点を絞って、「能力評価」と「レース条件評価」の両面から徹底検討する。[1/3ページ]
◆真に「買うべき馬」はどっち?

【能力評価】
マスカレードボールはここまで通算【4-1-1-1】。崩れたのはホープフルSの11着だけで、この時は右回りの中山に対応できず、状態もいまひとつだった模様。参考外でよい。
東京でのパフォーマンスはどれも素晴らしい。アイビーSは東京芝1800m2歳戦史上2位タイのタイム、ラスト11.3-11.2の加速ラップで勝ち、共同通信杯はレースレコードタイかつラスト11.5-11.5-11.2で勝利。どちらも文句なしのGⅠ級と言っていい走りだ。
日本ダービー2着から直行した天皇賞(秋)は1000m通過62.0秒の超スローペースを中団待機。直線は上がり32.3秒をマークして差し切った。
レース上がり4F44.4秒は東京芝で行われた全レースのうち最速タイ(トウシンマカオが勝った今年の京王杯SCと同じ)であり、これを後ろから差し切った脚力は驚異的だ。
対するクロワデュノールも国内では【4-1-0-0】の成績を誇る。マスカレードボールとはホープフルS、皐月賞、日本ダービーで3度対戦し、いずれも先着を果たした。
春の直接対決2戦について両者の内容を振り返る。まず皐月賞だが、マスカレードボールは最初のポジション争いでエリキングと何度も接触する不利を受け、1コーナーで外に膨れてもいた。中山コースを上手くこなせないまま、能力だけで3着まで盛り返した。
一方のクロワデュノールも残り1000mから11.4-11.5とペースが上がる早仕掛け戦のなか、先行策から外を押し上げていった。結果論としては動くタイミングが早く、最後差されはしたが、この馬以外は7着まで差し追い込み馬独占の展開を思えば、むしろ強い競馬をしたと言っていい。
コースの不得手を能力でカバーしたマスカレードボール、展開の不利に耐えて踏ん張ったクロワデュノール、どちらも甲乙つけがたい好内容だった。
日本ダービーは前後半6F72.1-71.6でほぼ平均か若干遅め程度のペース。ただしレースはホウオウアートマンが大逃げの形になっていて、離れた2番手以下は実質ややスロー、先行有利の流れだった。
展開に恵まれたのは4角3番手にいたクロワデュノールの方で、同7番手から0.1秒差まで迫ったマスカレードボールも中身では決して見劣らない。
この2戦から両者の能力はほぼ互角と判断する。先着はいずれもクロワデュノールだが、内容的には逆転も十分考えられる。



