今週末の11月30日(日)に開催されるジャパンカップは、国内外の実力馬が集う日本競馬屈指の一戦だ。今回は出走予定の有力馬の「前走内容」に焦点を当て、元トラックマンが各馬の走りを丁寧に検証していく。前走で優れたパフォーマンスを披露し、今回へとつながる勢いを見せたのは、一体どの馬だろうか。[2/3ページ]
有力馬の前走評価②

■シンエンペラー
開催日:2025年9月13日
レース:レパーズタウン・愛チャンピオンステークス(芝2000m)
着順:6着
評価:5
好位につけて、序盤は良い形で進めているように映ったが、残り600mを切って各馬仕掛けていくタイミングでの反応が鈍く、後方まで下がってしまった。
直線ではズルズル後退する感じはなかったが、他馬と同じ脚いろで流れ込んでの6着。あまり見どころのあるレースとは言えなかった。
その後は凱旋門賞を回避し、ここに備える調整。日本調教馬とはいえ、血統はゴリゴリの欧州血統であり、そのぶん日本の馬場で大きなパフォーマンスアップは疑問。昨年のように時計がかかれば出番がありそうという感じ。
■ダノンデサイル
開催日:2025年8月20日
レース:ヨーク・英国際ステークス(芝2050m)
着順:5着
評価:7
ペースメーカーの大逃げによって、前1頭の後ろ5頭という隊列。後ろの5頭は明らかなスローペースで瞬発力勝負となったが、残り300mあたりでその中から遅れ、6頭立ての5着で入線。
欧州の馬場が合わなかった可能性が高いとはいえ、ドバイのレース内容から期待を集めていただけに、少し物足りない走り。ただ、唯一先着したダリズがその後、凱旋門賞を勝利。少頭数ながらメンバーレベルはかなり高かった。
前走が海外遠征だった馬の中では一番長い、3ヶ月の立て直す期間を取っており、ダービーを制した舞台で再び輝きを放つ可能性は十分。
■マスカレードボール
開催日:2025年11月2日
レース:東京・天皇賞(秋)(芝2000m)
着順:1着
評価:9
前半1000mの通過が62秒0という、史上稀に見るスローペースの中、決め手比べで一枚上の力を見せての勝利。
このペースではあまり着差がつかないのは仕方のないところで、このペースであれば何回やってもこの馬が勝つのではないかと思えるレース内容であった。
ただ、これはどうしようもないことだが、今回は400m距離は延びるが、前半のペースは十中八九、前走より速くなる。切れ味は古馬相手でも互角以上であることを証明したが、現役最強馬を証明するために、試金石の一戦となりそうだ。



