【東大流・GⅠ二者択一 菊花賞】エネルジコvsエリキング 買うべき馬はどっち?

◆真に「買うべき馬」はどっち?
東京大学卒の競馬ライター・鈴木ユウヤが人気馬2頭のうち、真に「買うべき馬」はどちらかを見極める「東大流・GⅠ二者択一」。
今回は菊花賞(GⅠ・京都芝3000m)が対象。青葉賞勝ち馬エネルジコとトライアルの神戸新聞杯を勝ったエリキングの対決に焦点を絞って、「能力評価」と「レース条件評価」の両面から徹底検討する。
【能力評価】
エネルジコはデビューから4戦いずれも優秀な内容。新馬戦はラスト11.3-11.1の加速ラップを4角11番手から差し切り、セントポーリア賞は出遅れて直線半ばまで前が壁になりながら、外へ持ち出すと前を楽々と捕らえた。
なんといっても青葉賞が強烈で、ラスト11.3-11.2の加速ラップを4角12番手から差し切って見せた。
東京芝2400mで「ラスト1F11.2秒以下」のレースは1986年以降で全11例あるが、そのなかで全体時計2:24.8は最速だった(次点が昨年ジャパンCの2:25.5)。
この数字面に加え、3着ゲルチュタール(→日本海S勝ち)など、負かした相手が次々に条件戦を勝ったことも青葉賞のハイレベルぶりを補強する。
新潟記念は今年から別定戦となり、ヴィクトリアマイル3着馬シランケドやGⅠ馬ブレイディヴェーグなど好メンバーが揃った一戦。古馬牡馬59キロ相当の斤量を背負って2着に入った。
3着ディープモンスターも次走で京都大賞典を勝った。3歳夏時点で古馬のGⅠ~GⅡ級の馬たちとこれだけ戦えれば文句なしだ。
対するエリキングもポテンシャルは高い。これまで大崩れしたのは骨折明けの皐月賞だけで、2400mに距離が延びた日本ダービーは、2番手以下実質スローの前残り決着に4角14番手から上がり最速で5着。展開不向きのなかでよく伸びていた。
前走の神戸新聞杯は1000m通過62.6秒のスローを中団待機。展開は完全にショウヘイの勝ちパターンだったが、そこを強引に差し切って勝利。
「上がり32.3秒」は2000m超のJRA重賞勝ち馬としては史上最速タイの記録だ。
ただ、あえてケチをつけるのであれば、今年の神戸新聞杯はクロワデュノール、マスカレードボール、ミュージアムマイルといった春クラシック連対馬がいない「飛車角落ち」のメンバーではあった。
近年は有力馬が前哨戦を使わない例が増え、「神戸新聞杯組」のブランドも薄れつつある。
近5年の菊花賞で神戸新聞杯組の成績は【1-1-1-30】複勝率9.1%。その前5年の【3-2-3-22】同26.7%からガクっと落ちている。中京代替という要因もあるが、メンバーレベルの低下も作用していると思う。
両者の直接的な比較は難しいが、青葉賞の数値面と現時点で古馬ハイレベル重賞連対の実績から、能力評価はエネルジコを上と判断する。


