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【GⅠトレンドハンター 菊花賞】「決して瞬発力勝負にはならない?」今年のメンバーで持続力があるのは…

text by 勝木淳

重賞レースのデータ分析では過去10年が一般的だが、競馬のサイクルは短く、10年前の結果は現在と大きく異なることも多い。近年はローテーションも変化し、GⅠ戦線のトレンドが進化している。今回は、牡馬クラシック最終戦・菊花賞の傾向を、GⅠトレンドハンターである勝木淳氏が考察する。

2023年菊花賞を制したドゥレッツァ
2023年菊花賞を制したドゥレッツァ

菊花賞は決して瞬発力勝負にはならない

 牡馬クラシック最終章の舞台は京都・芝3000m。全出走馬が経験したことがない長距離に挑む。中距離志向が強まる直近5年の結果からみえてくるトレンドを探る。

 京都の外回りとなると、3、4コーナーのアップダウンを2度越えなければいけない。そのポイントは2度目ではなく、1度目のアップダウンにある。

 天皇賞(春)の3200mと比べると、スタート地点は3コーナーに近く、スタートダッシュを決めるとすぐに上り坂に突入し、さらに一気に下りに転じる。

 ポジションを求める先行馬のなかには、上りで無理を強いてしまい、下りでブレーキが利かないという状況に陥る馬が出てくる。

 特に経験が浅い3歳馬となれば、このスピードのさじ加減と抑制が難しい。それは前半1000mラップにみえる。

■過去5年のうち、京都施行の序盤1000mラップ
2020年 12.8-11.9-12.1-13.3-12.1 62.2
2023年 12.7-11.7-11.1-12.3-12.6 60.4
2024年 12.6-12.0-12.4-13.0-12.0 62.0

 コントレイルが無敗の三冠馬をかけた20年はその影響か、中団に控えたコントレイルを意識し、全体的に遅い入りになった。

 しかし、23年は下り坂で一旦加速ラップを描き、そこから正面スタンド前、1コーナーにかけてペースは落ち着いていった。この落ち着きを察知し、ドゥレッツァがポジションを求め、そのまま押し切っていった。

 24年はメイショウタバルが控える形をとり、序盤はかえって遅くなった。そのメイショウタバルが正面スタンド前で我慢できず、そこから一旦、ペースを上げるという変則的な形になった。

 序盤で突っ込んだ分、中盤で一気にペースが落ちるのも特徴。一方で、ドゥレッツァのように1、2コーナーのペースダウンに反応する馬も出てくる。

 やはり三冠最終戦となると、悔いを残さず、あえて勝負に出るという選択をとる騎手もいる。

 まくりが多発し、早めにペースアップすると、最後は時計がかかってくる。菊花賞は決して瞬発力勝負にはならない。

■過去5年のうち京都施行の後半1000mラップ
2020年 12.9-12.2-11.8-11.6-12.2 60.7
2023年 12.1-11.6-11.7-11.4-11.8 58.6
2024年 12.6-11.9-12.0-11.8-12.1 60.4

 23年ドゥレッツァが自力で刻んだ58.6は非常に優秀であり、その持続力の凄みすら感じるほど。

 2、3着はダービー馬と皐月賞馬であり、総合力が求められる菊花賞だった。今年はGⅠ馬が不在の混戦であり、意欲を燃やす陣営は例年以上とみる。

 どちらかというと昨年のレースラップに近く、2度目の下りに転じるラスト800mを一定のラップでゴールまで駆け抜ける力が問われる。

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