今年の秋華賞のカギを握るのは…
これが秋華賞のトレンド。京都内回り芝2000mという舞台がいかに難しいコースであるかがわかる。条件戦ではさほど難易度を感じないのは、ほぼフルゲート18頭で争われないから。2020年以降、このコースで18頭立てだったのは、秋華賞2回を除くとたった4回しかない。それもすべて未勝利戦で1番人気は1勝止まり。少頭数では感じない難しさがある。
で、フルゲートを制した牝馬三冠馬2頭はどちらも早めに動き、4コーナーで好位を確保し、抜け出した。秋華賞を勝つためには、機動力が欠かせない。中山やローカルコースほどの小回りではないが、たとえ末脚自慢であっても、早めに動いていかないと勝利を得られない。
残るはカメレオンのように変わる展開の読み。秋華賞は展開を決め打ちして馬券に挑まないと攻略できない。昨年のようなハイペースなら少し待つぐらいがちょうどいい。カギを握るのはエリカエクスプレスだ。
桜花賞では平均ペースを演出し、5着。オークスはスローに落とし、上がり勝負に持ち込んで10着。ペースを落とせば自身の持ち味を削いでしまう。前走はあえて古馬相手のマイル重賞京成杯AHを選び、控える形を試して11着大敗。
マイルからの距離延長となる今回、楽にマイペースを貫きたいという意図がみえる。鞍上は武豊騎手。必ずやエリカエクスプレスの持ち味を引き出すペースを刻んでくる。となると、もっとも着順がよかった桜花賞が理想だろう。距離を意識し、落とせばオークスの二の舞になってしまう。
昨年ほど速くならず、平均ラップなら2020年に近い。デアリングタクト以下は4コーナー13番手マジックキャッスル、12番手ソフトフルートが2、3着に入り、好位勢は崩れた。4コーナーで早めに動き、直線も脚を残せる実績上位馬と人気薄の差しの組み合わせ。
これを頭に入れ組み立てると、ローズSで少し前の位置をとって末脚を試したカムニャックは譲れないとして、残るはローズSで苦労しながら追い込んだ良血セナリスト、オークス4着と通用の可能性を示したパラディレーヌ、ローズSで差し脚に見どころがあったビップデイジーあたりではないか。切れ味ではカムニャックに劣っても、簡単には止まらない渋さなら負けない。
【了】
(文●勝木淳)
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