【東大流・ポテンシャル分析 サウジアラビアRC】「GⅠ級の数字」を叩き出したゾロアストロが堂々の主役
東京大学卒の競馬ライター・鈴木ユウヤが、2歳重賞の見どころをわかりやすく伝える本企画。今回は、10月11日(土)に行われるサウジアラビアロイヤルカップを特集する。このレースは、翌年のクラシック戦線で活躍する有力馬を多く輩出してきた注目の一戦だ。今年はどのような有望馬が顔を揃えているのか。その見どころを丁寧に解説する。
◆前走が超優秀だったゾロアストロ
10月11日(土)に東京競馬場でサウジアラビアロイヤルカップが行われる。過去にはダノンプレミアム、サリオス、ドルチェモアといった朝日杯FS優勝馬に加え、GⅠを6勝するグランアレグリアも輩出した「出世レース」だ。今年も登録は9頭と多くないが、将来有望な馬が名を連ねている。
その筆頭はゾロアストロ。デビュー戦は出遅れもあって2着に敗れたが、2戦目は新潟芝1800mであっさりと勝利した。そこで2馬身半離した2着ジーネキングはその後札幌2歳Sでも2着に入っている。
勝ち時計1:47.4、レースの後半5F57.9秒、自身の上がり32.9秒はいずれも優秀な数字。「2歳7月以前」「芝1800m以上のレース」で後半5Fが58秒を切ったのはワグネリアン新馬、ジオグリフ新馬、クロワデュノール新馬に次ぐ史上4例目だ。
『次世代スター発掘』の連載では高速馬場のぶんを考慮して★5に留めたが、数字自体はGⅠ級と言って差し支えない。あっさり勝って次のステージに進むだろう。
対抗できるとすればチュウワカーネギー。この世代最初の新馬戦を逃げ切った。当時は前後半4F51.0-45.2という異次元のスローペースで、あまり参考になる展開ではなかったが、とはいえ2歳6月時点で上がり33.2秒を出せるのは立派。2着アンドゥーリルが次走5馬身差勝ちという点から、レースレベルも高かったと推測される。
あとは新潟でラスト11.3-11.1の加速ラップを差し切ったエコロアルバにも要警戒だ。ニシノエースサマも前走の勝ち時計1:34.6はまずまずの記録だが、この時の新潟芝はかなり時計が速く、直後に行われた新馬戦でも1:34.9が出ていたことに注意したい。
アスクエジンバラは2走前の未勝利勝ちが5頭立て(うち3頭が九州産馬)、前走のコスモス賞は8頭立てで、うち3頭が未勝利馬、3頭がホッカイドウからの遠征馬というメンバー構成だった。ここ2戦に比べると、一気に相手が強力になる。今回が真価を問われる一戦だ。
【了】
(文●鈴木ユウヤ)
<プロフィール>
鈴木ユウヤ(@ysuzuki_keiba)
東京大学卒業後、編集者を経てライターとして独立。中央競馬と南関東競馬をとことん楽しむために日夜研究し、Xやブログ『競馬ナイト』で発信している。「ワイド1点買い」の使い手。2024年の中央GⅠで回収率130%を達成。
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