△候補馬
ウインカーネリアン
キーンランドカップの戦前に寸評を書いた通り、まったく走れないほど衰えていないが、近くを走っていたのが格下のフィオライアだけだったので、単騎逃げに近かったと言って良い。
過去にナミュールらトップマイラーと鎬を削ってきたウインカーネリアンにとってはかなり恵まれた内容であり、全盛期のウインカーネリアンであれば快勝していた可能性が極めて高い。
実際には、ペアポルックスだけではなくカルプスペルシュ、ナムラクララに交わされ5着に終わり、世代交代を感じさせる結果となった。
MI値を見ても、全盛期は80ptの大台に乗っていたが、近走は70pt台。8歳馬で70後半なのはすごいことだが、それはそれ。G1レベルになると、好走ラインは80ptだいであることを考えると、非常に苦しい。
全盛期に比べると、近走のパフォーマンスが低調であり、全盛期であればG1に届くかも?という水準であったことを考えると、割引が必要である。
ジューンブレア
カピリナの個別分析でポストした通り、サマースプリントシリーズの中では特にレベルの高い函館スプリントステークス2着。
インビンシブルパパを悠々交わしての2着は立派だが、この日の函館は、前が惰性で押し切りやすい高速馬場だったことを考えると、内容的にはカピリナのほうが上回る。
したがって、さらに相手が強化され、スプリント路線のオールスターとなった今年のスプリンターズステークスにおいては少しだけ割引が妥当。
ラッキースワイネス
世界一ハイレベルな香港のスプリント路線で注目を集めている1頭。かつては、香港と日本のスプリント路線は天と地ほどの差があった。
2010年まで遡ると、香港では一線級とは言えないウルトラファンタジーがスプリンターズステークスで大穴をあけ、日本の競馬ファンに衝撃を与えた。
当時、香港のスプリント路線は、日本馬にとっては鬼門であり、レジェンドクラスのロードカナロアが2012年にその重い扉をこじ開けるまでは、日本馬にとって難攻不落と思われていたカテゴリーである。
しかしながら、今では日本の競馬が中距離路線で世界一の座に就いたのに呼応して、マイル路線、スプリント路線、ダート路線も徐々に世界一への階段を着実に登っている。
スプリント路線に限って言及すると、今となっては毎年のように、日本トップクラス、ひいてはスプリンターズステークスの覇者が世界一決定戦である香港スプリントやチェアマンズスプリントプライズに殴り込みをかけ、コンスタントに好走する時代へ突入した。
つまり、日本競馬で最もレベルが低いスプリント路線でも、世界一へ徐々に近づいているということであり、差は縮まっている。当たり前のように香港のスプリント路線でも、日本馬が通用する時代に変わってきている。
話をラッキースワイネスに戻すと、2023年までのラッキースワイネスは香港スプリントを制しており、世界最強クラスのスプリンターであったことは疑いの余地がない。
しかしながら、今となっては当時ほどの勢いはなく、低調なレースが続いている。したがって、アウェイの環境であることも加味した上で、スプリンターズステークスにおけるラッキースワイネスは、世界一ハイレベルな香港のスプリント路線に敬意を表しつつも、割引が必要である。
△候補ほか(ペアポルックス)
【了】
プロフィール
玉嶋亮(たましま・りょう)
1985年生まれ。本業を抱え時間の制約があるため、芝オープンクラスのみにフィールドを限定している。「能力比較」「馬場読み」を中核のファクターとして、パドックや追い切り等は一切見ないスタイル。2021年凱旋門賞の単勝万馬券、2022年AJCCの三連単288万円等の的中実績がある。「単勝多点」「変則フォーメーション」「複勝チャレンジ」等多彩な馬券術に定評があり、設計回収率=130%を公言し、累計回収率=148%を記録している。旧作「競馬の教科書(ピンク本)」は、個人出版ながら異例の大ヒットを記録し、2022年11月にベストセラーの座を譲らないまま絶版した。アマチュア最強の予想屋、日本一の競馬作家になるのが目標。
▼競馬の教科書シリーズ▼
https://tamashimaryo.wixsite.com/my-site
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