【安田記念有力馬診断】初G1獲得を狙うシックスペンスの評価は?春のマイル王に輝くのはどの馬なのか…
6月8日、東京競馬場にて行われるG1安田記念に向けて、『競馬の教科書(オーパーツ・パブリッシング)』の著者・玉嶋亮がXアカウントで有力馬の評価を行っている。この記事では、◎候補と△候補に分けて各馬を分析し、レースの行方を占う。
◎候補馬(軸候補)
シックスペンス
毎日王冠1着、中山記念1着で連勝を飾ったが、大阪杯で惨敗を喫してしまった。
毎日王冠と中山記念は、G1ほどタイトなレースにはならず、ストレスの小さい競馬であったが、大阪杯ではG1の壁に阻まれた格好となった。
かつては、後に大阪杯を制したジャックドールも1回目の大阪杯では同じようなシーンがあり惨敗を喫しており、同じ類型に分類できる事案。
安田記念でも、大阪杯のタイトな流れに対応できなければ再度惨敗もあり得るが、クラス慣れで能力が発揮できれば能力的には最上位クラスに遜色ない。見極めが難しい1頭。
ジャンタルマンタル
去年の皐月賞では、早め先頭で勝ちに等しい内容で3着。そのまま適性面に目を瞑り、サリオスのように日本ダービーへ向かっていても好勝負できる能力水準だったが、NHKマイルカップへ向かった異例のローテーションだった。
去年のNHKマイルカップは、桜花賞からアスコリピチェーノも出走し、近年ではあまり見られな史上空前のマッチアップで注目を集めた。
競馬は2頭で走るほど単純ではないが、ジャンタルマンタルとアスコリピチェーノの傑出度はマッチレースと形容するのが相応しかった(最終予想では、他ポストの通り、◎ジャンタルマンタル、◯アスコリピチェーノ)。
直線では、ジャンタルマンタルの川田騎手が抜け出すタイミングを遅らせて内にいたアスコリピチェーノにフタをし進路を奪う好騎乗で、アスコリピチェーノの不発を誘発。
その後は、他馬が全力で仕掛けていた中で、残り400mまでは馬なりで、仕掛けると一瞬で加速し先頭に並びかける間もなく、後続を突き放した。
皐月賞や朝日杯同様、ジャンタルマンタル最大の長所である『加速力』を見せ付けた内容であった。
ハイレベル世代の皐月賞で勝ちに等しい3着、ヴィクトリアマイルで着差以上に強かったアスコリピチェーノとのマッチレースで横綱相撲だったことを考えると、混沌として膠着状態のマイル路線を一気に打開する可能性まである。
内容次第では、マイル路線で不在の『大関』昇格も視野に入る。
ブレイディヴェーグ
エリザベス女王杯では、3歳時に古馬へ初挑戦し、いきなりのG1制覇。G1としては例年よりもレベルが低い一戦だったが、一発回答は立派。
さらに、ほぼ1年ぶりの府中牝馬ステークスでは、シンティレーション以下を寄せ付けず楽勝。貫禄を示した内容である。
その後はマイルCS、東京新聞杯で敗れてしまったが、最大出力ベースでは能力最上位クラスのソウルラッシュ、ジャンタルマンタルらに遜色ない水準である。
府中牝馬ステークスの強かった内容から、東京コースの適性面でも問題は見られない。
◎候補ほか(ウォーターリヒト、ジュンブロッサム、ソウルラッシュ)
△候補馬
レッドモンレーヴ
毎年のように、京王杯SC等で圧倒的な末脚を繰り出し息の長い活躍をしているレッドモンレーヴ。
マイル重賞までは富士ステークス等の好走があるが、トップマイラーが集結するマイルG1では荷が重い上に、適性的にも1600mより1400mのほうが向いている。当落線上。
エコロヴァルツ
中山記念では、シックスペンスよりも前目で運んであわやのシーンを演じるも、最後はシックスペンスの強襲に屈指2着。
斤量面で恵まれていたことを考えると、完敗である。続く大阪杯では、前が惰性で残せるトラックバイアスを差してきての4着は悪くはない内容。
また、中山記念では斤量と展開に恵まれていたのはあるものの、ソウルラッシュに先着した結果は立派。
安田記念でも、能力最上位クラスには見劣りするが、恵まれれば好走可能な水準。
ガイアフォース
気分屋の側面があり、包まれる等ストレスフルなレースだと能力をまったく発揮できないこともしばしばで、出力のムラが大きい馬である。
安田記念で2年連続4着や、伝説の天皇賞秋で5着、マイラーズカップでシュネルマイスターや本格化前のソウルラッシュと接戦を演じており、全盛期の最大出力ならば通用する水準。
△候補ほか(ウインマーベル、サクラトゥジュール、トロヴァトーレ、マッドクール)
【了】
プロフィール
玉嶋亮(たましま・りょう)
1985年生まれ。本業を抱え時間の制約があるため、芝オープンクラスのみにフィールドを限定している。「能力比較」「馬場読み」を中核のファクターとして、パドックや追い切り等は一切見ないスタイル。2021年凱旋門賞の単勝万馬券、2022年AJCCの三連単288万円等の的中実績がある。「単勝多点」「変則フォーメーション」「複勝チャレンジ」等多彩な馬券術に定評があり、設計回収率=130%を公言し、累計回収率=148%を記録している。旧作「競馬の教科書(ピンク本)」は、個人出版ながら異例の大ヒットを記録し、2022年11月にベストセラーの座を譲らないまま絶版した。アマチュア最強の予想屋、日本一の競馬作家になるのが目標。
▼競馬の教科書シリーズ▼
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